誤読を許容する寛容さ
- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2006/08/17
- メディア: 新書
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著者:平野啓一郎
■評価:良
情報:○ 新規性:△ 構成:○ 日本語:○ 実用性:○
難易度:やや難 費用対効果:○ タイトルと内容の一致:○
お勧め出来る人・用途 :速読法に興味を持っている人・速読法の呪縛から逃れる
お勧めできない人・用途:読解力を高めたい人・本の読み方のコツを掴む
■所感
いわゆる「速読法」に一度でも興味を持ったことがある人は、ひとまず本書を読んで、その必要性についてもう一度考え直して欲しい。
本書は表示の通り、速読の「呪縛」から解放されるきっかけとなりうる有益な書である。
私自身がそうであり、本書の考察に触れることで、自分の考えを改めることが出来た。
(半ば実感としてはあったことではあるが、こうしてその専門の方に言葉にして頂くことで、迷いが吹っ切れたような気がする)
ただ、本書は「読書量」そのものを否定しているわけではない(肯定もしていないが)。
「本」が知識と考察の詰まった宝の箱である以上、読んだ本の多さはその人の知識量や考察力に深く関係してくる。
ただ、だからといってただ闇雲に読了本を増やすことには何の意味もない(ということは本書が語っていることそのものである)。
本書の進める「深読み」をそのまま実施する必要は必ずしもないと思う。
だが、本書は本の読み方の1つの優れた提案ではある。
そのまま実践するもよし、一部を取り入れてみるもよし、「自分流」を考え出してその読み方を貫くもよし。
どれを選ぶのもよいが、大切なのは自分の本の読み方について「考える」ことだ。
良書は読者によく考えさせる。
そういう意味で、本書は紛れもない良書であると言える。
■読了日
2012/11/18