生物はつらいよ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

書名:生物と無生物のあいだ
著者:福岡伸一


久しぶりに大ヒットした。
といっても私の判断基準はあくまでも私なので、要は非常に面白かったということであるが。
文才のある科学者の本は読んでいて楽しい。
何よりも専門用語がならんでもちっとも苦にならない。
この本は(最近の本にしては珍しく)帯に書かれた字句通り、生命を巡る科学ミステリーである。
しかもその構成もよく練られており、読者はこれが「生物」についての解説書であることを全く意識せずに頁を繰ることが出来る。
更に、盛り込まれている情報も、最新の分子生物学の動向、理系研究者・研究室の事情(しかも日米比較まで)、ワトソンとクリックによるDNA発見秘話、ある生物学者(著者)の研究遍歴などまさに「盛りだくさん」という言葉は本書のためにあるようなものであるかのように充実している。


このような本に早く出会っていたら、私は理系進学していたかも知れない。
それほどこの本がもたらす知識・気づきは大きい(まあ、単に私があまりにもこの分野に関する知識が不足していただけなのかも知れないが)。
文科省もどうして(副読本でもいいから)このような「興味をそそる」ような本を使おうとしないのかね。
「評価が確定しないもの」は使わない主義なのかも知れないねぇ。


まあ、とにかく。
特に文系の人。
是非読んでみてくだされ。