スレを憎んで管理者を憎まず
- 作者: ひろゆき
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2009/05/29
- メディア: 新書
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著者:ひろゆき
■評価:優
情報:◎ 新規性:◎ 構成:△ 日本語:○ 実用性:◎
難易度:易 費用対効果:◎ タイトルと内容の一致:×
お勧め出来る人・用途 :マスコミ関係者(特にテレビ業界の人)・これからの時代において既存メディアがどのように生き残っていくかについて考察する
お勧めできない人・用途:2ちゃんねるに興味がある人・ひろゆきが2ちゃんねるを手放した理由について知る
■所感
始めに断っておくが、表題は大嘘なので、注意。
表題の内容についてしりたければ、おそらく著者自身がどこかで語っているので、それこそネットで検索した方がいい。
確かに本書冒頭は表題についての話であるが、記述はほんの僅かで、特に暴露話もない。
本書の真の価値は、著者の的確なマスコミ批判にある。
透徹な眼差し。
冷徹な思考。
氷のような、という表現が適切であろう。
「ひろゆき」という人間はまるで論理で出来ているかのようである。
詳細は本書を手にとって読んでみて欲しい。
少なくても、
- なぜテレビは駄目になったか
- ネットとテレビは競合するのか
- これからの(テレビを始めとする)マスコミはどのように自らの姿を変えていくべきか
- Web2.0とは何か、そしてその可能性はどのようなものか
- ネットとは何か、そして企業はそれに対してどのような態度を取るべきか
について、本書は有益な視点を提供している。
マスコミ関係者(特にテレビの人)にとって必読の書である。
彼の氷のような冷たく鋭い批判を受け止められなければ、これからのマスコミに未来はない。
ちなみに、私は2ちゃんねるが大嫌いだが、本書を読んでも全くそういう不快感は感じなかった。
「ひろゆき」という人物と彼が作り出したシステムの上で発生している現象は区別して捉えた方がいい。
久しぶりに筋の通った論を展開する「天才」と出会った。
クリアすぎて恐いぐらいであるが。
本書の企画はもともと梅田さんとの対談だったらしい。
それはタイミング悪く実現しなかったが(ただし、タイミングが良かったとしても、梅田さんが受けたかどうかは解らない。梅田さんは2ちゃんねるこそがこの国で「総表現社会」が実現しないことの象徴であると捉えられているから(それ自体は私も同意見である)だ)、是非実現して欲しかった。
梅田さんの「熱意」とひろゆきの「怜悧」のぶつかり合いからはおそらく非常に有益な何かが産み出されたであろうから、これは非常に残念であった。
■読了日
2010/05/23