ビョークが行く

ビョークが行く

ビョークが行く

書名:ビョークが行く
著者:エヴェリンマクドネル, Evelyn McDonnell, 栩木玲子


■評価:良
  情報:○ 新規性:◎ 構成:○ 日本語:○ 実用性:×
  難易度:普 費用対効果:○ タイトルと内容の一致:○
  お勧め出来る人・用途 :ダンサー・イン・ザ・ダークビョークを初めて知り、興味を持った人・ビョークというアーティストの思想、生き方、歩んだ道のりなどを知る
  お勧めできない人・用途:アヴァンギャルドを全く理解出来ない人・ビョークを理解しようとする


■所感
 不肖、私も、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でビョークという才能に初めて出会った人間の1人である。
 映画そのものの魅力もさることながら、セルマを演じ、その音楽の全てを担当し、そして魂を揺さぶるような歌い方をする「ビョーク」というアーティストに強く惹かれるものを感じた。


 しかし、「デビュー」「ポスト」「ヴェスパタイン」と代表作は一通り聴いてみたが、残念ながらあまりピンと来るものはなく、私にとってのビョークはあくまで「セルマ」としてのビョークのままにとどまっていた。
 (セルマソングスは素晴らしいと思った。今でも聴いている)


 もし私に十分な語学力があれば、この感想はまた違ったものになっていただろう。
 彼女の歌は曲もさることながらその歌詞と合わせて初めてその本領を発揮するものだと知ったからだ。
 

 本書は、そのような私の理解力不足を補い、ビョークという人の思想や生き様を知るための良い本であった。

「男の子なんてクズ同然、○○○○のときにしか役に立たない、って思ってた」

 今はどう考えていらっしゃるのかは解らないが、個人的には同意見。
 男ほど無用なつまらない生物はいない。
 村上龍のエッセイのタイトルが示すとおり、「消耗品」でしかないのだ。


 ま、これは極端な例であるが。


 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』においては、私はラース・フォン・トリアーを全面的に支持するので(あれは「不条理」を描いた傑作だ、というのが私の理解)、その点だけはインタビュアーと意見を異にするが、それもまた結構なのでは?

 ビョークの音楽に対する態度を理解するためには必読の書。
 常識に凝り固まって人生をつまらなくしているあなたにこそ聞いて欲しい、「ぶっ飛んだ」アーティストの生の声。