理由はよく解らないが、手術を受けることになった。
しかも、脳の手術である。


手術を受けるのは、誰か女の人だった、らしいが、実際に頭を切られていたのは、何故か私だった。
そう、全身麻酔を受けていたはずなのに、私は頭が切られているのを知覚していた。


医者は良く切れるはさみで、まるでハムを切るように、私(?)の頭の肉を切っていった。
いや、それは切るというよりも、リンゴの皮をむいているような感じだった。


そして、あらわになった脳(私はそれを視覚ではなく感覚で感じ取っていた。手術されていたのが私であるという根拠はここにある)を、さらにそのはさみで切っていった。
それから、眼球(なんと生々しいことか。しかしそれは確かに眼球だったのだ)を取り出して、またある場所に戻した)。
(頭頂から始めて、眼球に至るまで解体していたとしたら、既に死んでいるはずであるが、私(?)は生きていた。しかし、それが夢であるという自覚は無かった)


医者は「これは何で、それが何」というように聞こえるはずのない私(?)に語りかけていた。
そして、「口を縫ったことがありますか?」と聞かれた。
私(?)は、過去の記憶を辿り、そしてまた生々しく口が縫合される光景を思い出して、無機質な声で「はい」と答えた(!)。
医者は、私(?)の頭を糸で縫い合わせた。


それから私(?)はそのまま外に出された。
どうも、「歩いてみろ」ということらしい。
私(?)は、そのまま学校とおぼしき廊下を歩き出した。
(どうも手術は立ったまま行われていたらしい)
しかし、どれだけ進んでも、どこにも辿り着かなかった。
どうやら同じ所をぐるぐる回り続けているらしい。
まだ感覚が回復していないのだ、と思った。


記憶はここで途切れている。

以前にも一度、手術される夢を見た。
その時は、全身の血を全て入れ替える、という、これまたどう考えてもおかしい内容の手術で、しかも完全な知覚があった。
その時も、ブラックアウトするような感覚は訪れなかった。
私は、はっきりと、その様を見つめていた。


これが何の願望なのか、分析したいとは思わない。
(私は「夢分析」には否定的なのである)
或いは身体の訴えなのかもしれないが、それを医者に話したところで相手にされないのは解っている。
(私は未だに「カウンセリング」なるものを受けたことはない。受けたいとも思わない)
ただ、単なる悪夢の1つとして、受容するしかないと諦めている。