10年後あなたの本棚に残るビジネス書100

10年後あなたの本棚に残るビジネス書100

書名:10年後あなたの本棚に残るビジネス書100
著者:神田 昌典、勝間 和代


良書。
さすがに2人とも第一線で活躍する「ビジネスパーソン」だけあって、読んでいる本の質と量が違う。
その種のアンテナを張っている人にとっては王道すぎて退屈なラインナップかも知れないが、その世界に入り立ての人にとっては、良い道しるべとなることは間違いないだろう。


たとえそれら既知の書であっても、それが「必読書」であることを確認できる、どれが自分にとって優先順位の高い本であるかが解る、という2つの利点があるため(特に後者は重要)、本書を読むことは決して無駄にはならない。
自分で1冊ずつ内容を確かめて、取捨選択し、優先順位をつける手間を考えたら(勿論その作業そのものは有意義で必要な作業であるが)、本書を読むことで節約できるコストは本書の値段以上のものがあると言えるだろう。


勿論、ダメな人間の典型的なパターンで、全部を鵜呑みにするような読み方をするのは禁物である。
自分が必要だと思うものをこの中から拾い上げるつもりで読むのでなければ意味がない。
従って、1冊もビジネス書を読んだことがない人が、本書(或いは本書のような書評集)からビジネス書の世界に入るのはあまり薦められない。
自分で何冊か手にとって失敗を繰り返すという経験はどうしても必要である。
それがあって初めて、本書を「有効活用」することが出来るようになる。
それがなければ100冊も一気に積まれて途方に暮れるだけだろう。
結局、この中から自分が読むべき本を拾い上げなければならないのだが、そのような眼力は、試行錯誤の中からしか身につかないのである。
(試みにどれか1冊読んでみる、という手段があるようにも見えるが、それが「ハズレ」だった場合に、選んだ自分ではなくそれを推挙した本書に原因を帰してしまいかねない)


あくまでも「利用する」つもりで読むこと。
それが出来る人になら、本書は自信を持って薦めることが出来る。