会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)

書名:会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く
著者:勝間和代


著書が大量に出ていて、人気急上昇中の勝間氏であるが、私にとってこの本が初めての著作(購入したのは2冊目)。
今年念頭のNHKの討論番組で意外にも(失礼!)まともな発言をする人だと興味を持ったので、「勝間氏が好き」だという知人とお会いする機会に読んでみることにした。


・・・常識人ですね、この人は。
とり立てて奇抜なことは言わないし、「これは!」というような刮目すべき発言も見あたらないけれども、おっしゃっていることは非常にまともで筋が通っている。
冷静に淡々と自信を持って自説を披露しているような感じの文章。
(テレビでの話し方もそうだった)


内容は、まさにタイトル通りで、変動の激しい現在の社会の中で、「会社に人生を預けること」がいかにリスキーであるかということを氏流の説得術で淡々と説いている。
とかく外資コンサルの成功組の面々が自己の経験を絶対視しがちな中において、氏の主張は自らの体験をベースにしながらも、しっかりとした論理と効果的な数字を用いた説得力充分なものとなっている。
その点が本書の長所である。


悲しいかな、(私も含めた)多くの凡庸人間にとって、彼女の提言するような生き方は、難度が高すぎてそのまま実践することは難しいが、キャリアや働き方を考える上で、大いに参考にはなる。
それにしても。
最近の成功者(特に外資コンサル成功組)はどうして異口同音に「脱サラ」(死語か、既に)を薦めるのだろうか。
確かにそれが最も望ましい1つのゴールなのだろうけれども、誰もが出来ることではないし、万人が目指すべきものでもないと思う。
その辺のステレオタイプ的な部分だけが気に入らないが、まあ、総じて彼ら(勿論勝間氏も含む)の言っていることは正論である。
その正論がなかなか通用しないのが、ウェットな情となあなあな甘えの関係で社会が成り立っているこの国の特徴なのでもあるが・・・。


傑作、とまでは言えないが、コスト相当の見返りは保証できる参考書。
タイトルを見て興味を持った人は一読をお勧めする。
自分なりのキャリア感がある人にとっては、あまり必要はないかもしれない。