書評、である。
カテゴリミスではない。


東京の某ちり紙交換の店で、上記CDの限定版を見つけた。
限定版なんぞにはついぞ興味を示さない私であるが、このときは、値札も見ずに(嘘つけ、しっかりチェックしていた癖に)<そりゃ、予算オーバーなんだから、チェックしないとまずいだろ>即買いしてしまった。
ああ、外野が五月蠅い。


何故かと言えば、植松師匠のエッセイが限定版の特典だったからである。
世界広しといえども、私が師匠と呼ぶのは、ただ1人、植松伸夫師匠だけである。
音楽の師匠であることは勿論、生き方そのものが私にとっての理想、すなわち人生の師匠である。
師匠の書いたエッセイは勿論買って読んだ。

みんなそうなの? (ファミ通Books)

みんなそうなの? (ファミ通Books)

楽して暮らしてぇなぁ。

楽して暮らしてぇなぁ。

(残念ながら当時まともな書評は書いていない)
師匠の音楽は、ほとんど毎日聴いているし、年の8割は、寝ている間もずっとかかっている。
1度だけ師匠のコンサートに行った。
(今は東京を離れているので行くことができない)
師匠の音楽を聴き、師匠のエッセイを読むために、ファンクラブにも入った。
(人生で初めて。残念ながら昨年度限りで終了してしまったが)
要は、師匠である。


そのような師匠が書かれたエッセイ(しかも非売品!)を目の前にして、予算オーバーなど風の前の塵に同じ。


とはいえ、やはりCDの付属品。
あまり期待は出来ないんだろうなぁ・・・というのは、過ちであった。
し、師匠。
申し訳ございませんでしたぁ〜!


いや、ほんと、師匠ですよ。
この人の生き方、人の生き方の王道ですよ。
自由奔放に生きているのに一生懸命で、夢ばかり追いかけているのに関わる人全てを幸せにして、何でこんな生き方ができるんですか、師匠。


そして師匠の世の中を見る眼の鋭いこと。
そこら辺の似非有識者なんて簡単に論破されまっせ、師匠の鋭い批評に。


さらに、師匠の発想の豊かなこと。
さすが、数多くの名曲を紡ぎ出した想像力。
ここまで柔軟でとらわれない発想が出来る人は日本人では珍しい。
1作曲家にしておくのは非常に惜しいと思うのは私だけではないだろう。
師匠、何かやりませんか。
師匠なら日本の政治を変えられるかも知れませんよ。


そして何よりも、師匠の思いやりの深いこと。
やはり音楽には性格が現れるのである。
あれだけ美しい音楽を作り出す人の心は、やはり美しい。
テーマもなく、制約もない、エッセイにはその人の心がよく現れる。


師匠の音楽を聴いたことのない人が師匠のエッセイに興味を持つことは些か難しいことかも知れないが、「夢を実現した異色の作曲家」という位置づけならば、ほとんどどんな人でも読むことが出来るはずだ。
そして、本書は万人に勧められる良書である。
特に「インド編」がお勧め。
・・・といっても、非売品なんだよね。
どうしても読みたい人は私から直接借りてちょーだい、ということで。


ちなみに、このCDでは、冒頭のSCENEⅢと(アンコール扱いの2曲を除いて)最後のSCENEⅦが秀逸。
以前人に紹介したときに、SCENEⅢを「夢の始まり」、SCENEⅦを「夢の終わり」として紹介したが(その時、その間にちょうど曲名が『夢の岸辺に』という光田さんの曲があったので、テーマは勿論「夢」となった)、まさにその名がふさわしい名曲である。
他には、『遙かなる故郷』というボーカル入りの曲が良い。
ボーカルは素人らしいが、澄んだ良い声で、勿論歌も良い。
いわゆる「ベスト」盤なのだが、師匠の独創性溢れる編成となっていて、「あ、何となく聞いたことある、これ」といった曲から、「え、これ、ファイナルファンタジーなの?}という曲まであるが、よい曲が揃ったアルバムである。
曲の方も是非。