仏陀は間違っていた
人は求めないことは出来ない
何故なら、既に人は手に入れてしまっているからだ
求める前に既に手に入れてしまっているのだ


求めるのは、ゼロからプラスへの志向ではない
マイナスから元のゼロへの志向なのだ
人は求める前から手に入れてしまっている
そしてそれに気づいたときにはもうそれは失われてしまっているのだ


求めないというのはゼロの境地ではない
マイナスだ
求めて手に入れて初めて人はゼロになれるのだ


時に手に入らないことがあるだろう
それは確かにマイナスである
だが、手に入ったとしてもゼロになるだけなのである


求めて手にはいるとしても一時的なものにすぎない
それは確かだ
しかしその時人はプラスではなくゼロになっているにすぎない


求めて手に入れて初めてゼロになれるのだ
それはほんの束の間の幸せかもしれない
だが、求めないということはその束の間の幸せまで放棄するということだ


求めるからマイナスになるのではない
人は最初からマイナスなのだ
求めて手に入れることでゼロになれる
そして手に入らなくてもゼロの時を思い出してマイナスに耐えることが出来る


求めない人は既に与えられている人だ
求めなくてもゼロになっている人だ
その人が幸福なのは当たり前だ


多くの人はやはり
求めて
失って
また求めて
手に入らない幸せを追い求めて
そうやって生きるしかないのだ


ほんの少しのプラスと大きなマイナスか
永遠のゼロか
そんな選択肢は始めからない


永遠のマイナスか
ほんの一瞬のゼロとその記憶を持った状態でのマイナスか
その2択なのだ


それでも貴方はまだ
幸せを求める人々のむなしい努力を
嗤うことが出来るだろうか