生きるのが困難な人々へ 孤独について (文春新書)

生きるのが困難な人々へ 孤独について (文春新書)

書名:孤独について―生きるのが困難な人々へ
著者:中島義道


恐らく読了は7/9。
まとめて書いているのは、決して「ブログのタイトルを考えるのが面倒になった」からではない。
決して。
断じて。


駄作。
中島義道の書が好きな人(私もその1人)も、本書だけはやめた方が良い。
比較的初期の作品だと思うが、ひたすら自分の話だけ出てくるので、つまらないことこの上ない(例えばこのブログのようなもの。ああ、つまらない。自分で読むしか価値がない。でも自分で読んでもつまらない)。
『ウィーン愛憎』を読んでいないから解らないが、この頃の中島義道は、まだ自分の悲惨さを切り離してパロディにすることが出来ていないので、読んでいても面白くない
中島義道という哲学者の著書の面白さは、自らの不幸を滑稽な「ネタ」に変えることが出来るところにある。
お勧めは、

  1. 『ひとを<嫌う>ということ』
  2. 『「人間嫌い」のルール』
  3. 『人生を<半分>降りる―哲学的生き方のすすめ』

で、この順番
あれ?でも、『人生を<半分>降りる』は、本書よりも前の出版だ。
あ、そうか、本書の場合は扱っている時期が問題なのか。
だから、その時期(少年期)を扱うのにまだその事実をパロディ化出来ていない(これは大変難しいことだと思う。私自身も少年時代はトラウマの塊であるのでまだ語ることか出来ない)ということか。
『人生を<半分>降りる』はその前の作品だが、扱っている時期が、主に著者が落ち着いた(仕事的に)後のことだったから、有る意味「面白おかしく」語ることが出来ているのか。
つまり余裕のあるなしで、余裕のない独白ほど読んでいる者を不快にさせるものはない(例えばこのブログ)<しつこい。自意識過剰なんだよ>。


上司(新設の部(6月付けで私が異動になった)の部長!)が「出張の退屈しのぎに借りるわ」とおっしゃって持っていったものの、その日のうちに、「やっぱり返す」と返してしまったほど(多分、斜め読みしてつまらないことを感じとられたのだろう)つまらない本。


中島義道の名誉のために言っておくと(上記でさんざんそのための努力はしたのだが)、本書は飛び抜けてつまらない本なのであって、この人が書くものは基本的に面白いのである。
そして、これは意外だったのだが(失礼)、この人の真面目な哲学書も面白い(例えば以前書評を書いた『哲学塾−死を哲学する』)。


ただ、本書はダメダメ。