暗証番号はなぜ4桁なのか? セキュリティを本質から理解する (光文社新書)

暗証番号はなぜ4桁なのか? セキュリティを本質から理解する (光文社新書)

書名:暗証番号はなぜ4桁なのか? セキュリティを本質から理解する
著者:岡嶋裕史


優良可不可で判定するなら、可。


全くのセキュリティ初心者が読む本。
少なくとも仕事で関係するプログラマやSEがこのぐらいの知識をありがたがっているようではまずい。
とはいえ、本書の対象はそのようなセキュリティとは縁遠い生活をしてきた(これからはいやがおうでも拘わらざるをえなくなってくることは本書でも強調されているとおり)人。
そういう意味ではとっかかりとしてはこのレベルの話でもよい(著者も最後の方でこの本を「とっかかりとして」と書いてある)。
が、あくまで新書だし(雑誌の記事じゃない)、たいそうなタイトルもついていることだし、もう少し踏み込んだ内容を盛り込んでも良かったのではないか。
少なくても2進数の説明をしている場合ではない(学校の教科書じゃないんだから)。


この人の書く文章はユーモアがあって面白い。
実例として挙げられている事例も読んでいて思わず吹いてしまうような(いや、吹いたりはしないけど)内容で飽きさせない。
だから、読み物として判断するなら十分に良以上の評価なのだが(そして私は今極度に疲労しており、easyな本を求めていたので本書は最適ではあったのだが)、あくまで実用を重んじる新書として評価すると良は付けがたい。


高い評価を付けることは出来なかったが、読む分には害はなく(いや、害がある本もあるのだ、実際に。道徳的な意味ではなくてストレスが溜まるとか間違った知識がついてしまうとかそういう意味で)、時間もかからないので(漫画だと思ってもいいくらい。著者の文章力によるところも大きい)、余裕があるなら一読しても良いかもしれない。
あくまで「読み物」として。