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- 作者: 岡本一郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/05/16
- メディア: 新書
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著者:岡本一郎
良書。
マスコミ関係者必読の書である。
本書では、これから先確実に訪れる「ウェブ時代」において、マスメディアが生き残っていくために考えなければならない問題と、「敵」であるグーグル(を始めとするWeb2.0的ビジネスモデル)の強みが分析されている。
そしてそれらと戦っていく(ウェブ時代の中で生き残っていく)上での指針を明確な方向性として打ち出している。
本書の特に優れているところは、現状の分析である。
その中でも特に、既存4マスメディアとグーグルを評価・分析した2次元上のマッピングが秀逸であった。
選別・無選別と情動・論理の軸をとり、グーグルの特徴を、「初めて特定の対象に向けて情動的に訴えかけるメディアが誕生した」と分析した箇所にはなるほどと思わせるところがあった。
本書では(おそらく意識的に)Web2.0という言葉はあまり使われていないが、本書を読むことで「何がWeb2.0的ではないか」について理解を増し加えることが出来る。
インターネットを利用して自社に有益な情報を一方的に流そうとして失敗した事例が、まさに「ウェブ時代」における企業のあり方の反面教師となっている。
Web2.0の真の理解者(著者はまさにそうであると本書からは伺える)にしては珍しいことであるが、著者は既存マスコミに大して同情的であり、またこれから先も既存マスメディアは生き残っていくべき存在であるという立場をとっている。
既存メディアは基本的に全て消滅の方向に向かう、という私とは反対の立場にある。
(ただ、これだけべた褒めしているところから解ると思うが、本書を読んで私も少し考えが変わった)
提案に関しては、あくまでも「方向性」のみであり、実現性に関してはほとんど関知していない(そう言う意味ではこの扇情的なタイトルに内容は沿っていない。この手のタイトルの弊害に関してはさんざん述べたが、タイトルが扇情的なおかげで私は本書に出会えたわけであるから今回は大目に見ることにする)。
が、確かに、「ウェブ時代」の中でグーグルのような企業と共存していくためには、現在のところそれしかないだろうという内容になっている(あくまで下記書籍で糾弾されているように「利権」という裏技を使わなければ、の話)。
詳しくは勿論本書を読んで欲しい。
マスコミ関係者は勿論のこと、これからグーグルやインターネットと競合関係になる業種(ほとんど全て!)の関係者にとって必読の書であると言い切ってよい。