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- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 新書
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著者:手塚治虫
駄作。
古き良き時代を嘆くこと、仁義なき開発を非難することは環境破壊に対して無力である。
人は農業を始めたときから環境を破壊し続けてきた。
そこには「豊かになりたい」「安定した生活を送りたい」という人々の願い(個々では敢えて「欲望」という言葉は使わない)が込められている。
殊、環境に関しては悪の根源を叩く勧善懲悪ものが無批判に氾濫しているが、では誰を倒せば環境破壊は止まるというのだろうか。
アメリカ人と中国人を絶滅させれば環境破壊は止まるのか?
いや、エコノミックアニマル=日本人も絶滅させようか?
環境破壊は人間の営みそのものであり、想像以上に根が深い。
公害は確かに特定の企業が引き起こした人災であるが、高度経済成長の恩恵を受けたのは一部の日本人だけなのだろうか?
埋め立て地に住居を構えている人は皆悪人なのだろうか?
都会に住みたいという人々に居住地を提供する行為は悪だったのだろうか?
そんなに環境が守りたいというのなら、いっそ人間を絶滅させればいいと思うのだが(正確には既に人間も環境の一部となっているから、現在の状態で絶滅すると環境に少なからぬ影響を及ぼす。単純に考えてもメンテナンスしなくなった原子力発電所から放射能が一斉に漏れ出す、核ミサイルが暴発する、といったことで地球が滅びかねない)?
環境ファッショじゃなくてあくまでも人類の存続のために環境を保護すべきだというのならば、もはや取り戻しようのない「豊かな自然」へのノスタルジーなど棄ててしまって、ドライにこの地球が1日でも長く人間の住める環境を維持できるためにはどうしたらよいか考えるべきである。
愚かな生き物が愚かな自分たちを制御しようというのだから、愛や理想などという神のレベルの因子ではなく、欲望やモチベーションといったマテリアリスティックな因子を制御用に用いるしかないだろう。