欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)

欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)

書名:欲ばり過ぎるニッポンの教育
著者:苅谷剛彦, 増田ユリヤ


苅谷さんは健在であった。
教育に対する「幻想」を捨て、もっと「現実」を見ろ、というご指摘は『大衆教育社会のゆくえ』から一貫しており、昨今の「教育改革」でもその指摘は十分有効なものである。
有限の時間・資材の中で、「あれもこれも」的なポジティブリストの水増しが如何に危険なものであるかということを、特に子を持つ親たちは考えるべきである。
まして必要な事項の増大と逆行する形で教育に対する資源は削られている。
これでは現場の教員はたまったものではないだろう。
やるべき事のリストだけ長くして必要な資源を投与しない。
「より一層の健闘」という人間の「ガンバリズム」に依存したシステムが機能しないばかりか、各所で弊害を誘発することは先の大戦の失敗で学ぶべき最優先事項ではなかったのか。
日本人の悪癖である「精神論」から脱却するためにも、教育に対する冷静な(冷徹ではない)視線が求められる。
間違えてはならない。
人間は猿なのである。