そいつはいつも逆さまに僕のことを見ていた
あまりにも動かないから死んでいるのかと思った
でも、いつも見かける度に違う位置にいた


いつ襲いかかられるかとおびえていた
だってそいつは今にも飛びかかってきそうな顔をしていたから


重力の法則を無視して悠然と構えていたそいつを
僕は門番として雇うことにした
いいだろう
そこは特等席なのだから


ある朝
そいつはいなくなっていた
緑色の壁に飽きてしまったのか
猫に食われてしまったのか
それは解らない
ただ一つ確かなことは
あいつはもう戻ってこないということだけだ


いつもそうだった
誰もが皆突然現れ
いつの間にかいなくなる
何の理由もなく
何の便りもなく
ただ
いなくなる


いつか僕もまた

といっても今朝のことなんだけどね。
本当に大きな蟷螂だったなあ。


この会社の新書は何冊か持っているが、通して読んだのは初めて。
著者の分析は鋭く、最後まで飽きることなく読み通すことが出来た。
何よりも読みながら「あ、うちの会社にぴったり当てはまる」と吹き出しそうになる場面が何度かあったということがUX(ユーザーエクスペリエンス)という観点から見ても高い評価が出来る書であった。
著者が本書で使用している統計学的道具は「相関分析」と「回帰分析」の二つのみであり、紹介されている手法も独自メソッドと呼ぶには特徴に欠ける「常識的」な手法であるが、それらはマーケットをとらえる「物語」の上に立脚しており、十分に首肯できる内容となっている。


金儲けには「全く」興味は無いが、マーケット分析は意外に面白いかも知れない。
そう言えばこの会社、もう少しで採用された会社だったのだが(わざわざ京都まで行ったんだよね。だけど卒論がさ・・・)・・・。


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