あこがれを抱きつつ

書名:フラワー・オブ・ライフ 第1巻 (白泉社文庫 よ 4-4)
    フラワー・オブ・ライフ 第2巻 (白泉社文庫 よ 4-5)
    フラワー・オブ・ライフ 第3巻 (白泉社文庫 よ 4-5)
作者:よしながふみ

フラワー・オブ・ライフ 第1巻 (白泉社文庫 よ 4-4)

フラワー・オブ・ライフ 第1巻 (白泉社文庫 よ 4-4)

フラワー・オブ・ライフ 第2巻 (白泉社文庫 よ 4-5)

フラワー・オブ・ライフ 第2巻 (白泉社文庫 よ 4-5)

フラワー・オブ・ライフ 第3巻 (白泉社文庫 よ 4-6)

フラワー・オブ・ライフ 第3巻 (白泉社文庫 よ 4-6)


■評価:優
  物語:○ 情報:○ 斬新さ:○ 意外性:◎ 含意の深さ:◎ ムーブメント:○ 構成:△ 日本語:○
  難易度:易 費用対効果:△ タイトル:◎
  お勧め出来る人 :小さな日常の幸せを大事に生きていきたい人
  お勧めできない人:大きな変化や刺激を求めている人


■所感
本作が描いているのは、本作の主人公の親友が「描きたい」と編集者に語ったような、「小さな日常の幸せ」そのものである。
(このあたりの「計算」がにくい)
誰にでもある「古き良き学生時代」を彷彿とさせるほんわかストーリー・・・なのではあるが・・・。
そこはよしながさん、一筋縄ではいかない。


不幸や死というものは日常と対局にあるのではない。
日常の延長線上にあるのでもない。
日常そのものの中に紛れているのだ。
否、それらは日常そのものなのである。


だからこそ日々を精一杯、というレベルの視点でよしながさんの漫画を捉えようとすると痛い目をみる。
そのような単純な解釈では捉えきれない、否、そのような解釈を拒絶するところに、本作はある。
メッセージは単純にして明解、キャラクターも解りやすく、小難しい理論もない。
それなのに、何か捉えどころのない作品なのだ。


それはよしながさん特有の奇抜な設定のせいではない。
あくまでそれは目眩ましでしかない。
その目眩ましの先にある何か、それを感じ取れた者だけが、本作の意図するところを理解出来る。

日常ってなんだ?


■読了日
2011/04/21