プログラマは政治が苦手

誰も教えてくれない大人の「政治力」

誰も教えてくれない大人の「政治力」

書名:誰も教えてくれない大人の「政治力」
著者:知的生活追跡班


■評価:良
  情報:△ 新規性:△ 構成:△ 日本語:○ 実用性:◎
  難易度:易 費用対効果:◎ タイトルと内容の一致:○
  お勧め出来る人・用途 :社内やグループ内といった中小規模な集団の中で主導権を握りたいと思っている人・組織や集団の中でうまく立ち回る方法を学習する
  お勧めできない人・用途:国政や地方自治などいわゆる「政治」の力を身につけたいと思っている人・選挙で勝利する方法などを学習する。


■所感
 タイトルのままの内容であるが、小手先のテクニックを集めたハウツー本になっていないところに、本書の価値がある。
 それぞれの行動に対して何故そのような行動をとると良いのか、きちんと理論的な説明があり(ところどころ強弁になってしまっているところは目をつぶろう)、「原理原則」を重視している。
 かといって、がちがちの「理論の書」でもなく、具体的にどのような行動をとればよいのか、という点までしっかりとアドバイスされているので、「で、結局どうすればいいの?」というフラストレーションが溜まることはない。


 中には、自分が所属している集団の性質にそぐわないような内容も記述されているが、その辺りは自分で判断すべき。
 

 費用対効果の点から考えても、合格である。
 単に値段の安さのみならず、余計な情報があまり載っていないのですぐに読み終われる、という時間のコストという観点から考えても、かけた時間に見合ったリターンを得られると考えて良い


 ただし本書はあくまで入門の書である。
 本書を読んだからといって、翌日からすぐに集団(やその構成員)を思いのままに動かせるようなことには勿論ならない。
 そうなるためには、経験の積み重ねに加えて、根気強い努力(この国の場合は「根回し」がそのほとんどとなろう)と魅力(魅力も努力によって身につくので、要は「努力」)が必要になる。
 当たり前ではあるが、念のため。


 「政治は苦手」「政治は出来るだけやりたくない」と思っている人も、社会の中で生きている限り、「政治」的なものからは逃れることは出来ないので、本書は万人にとって有意義な本である。
 一読の価値有り。