「断らない力」をいかんなく発揮し、仕事納めの「納会」と称した大人の夜遊びに同行した。
飲み会→かなり執拗に「お持ち帰り」を迫ってくるキャバクラ(?)→普通のキャバクラ(要はキャバクラのはしご)という、私にとって何の益もない悪のりに、躊躇することなくついていった。
さすがにシメの(?)ラーメン屋だけは、内臓という物理的にどうしようもない障壁があったので辞退したが。


最初の店では「だんまり」で(何せ執拗に絡んできてお金を請求するので)、その次の店では相手の話に合わせて適当に応答していた。


勿論、キャバクラになんて行ったことはない。初めてである。
だからといって特に対応に困るというようなことはなかった。
捨てた人生を今更取り繕う必要も、地に落ちた自尊心を拾い上げようとする気力もない。
2店目でも「だんまり」を決め込んでいても良かったのだが、それでは相手がやりづらかろうと思い、特に害のない内容の話を適当に受け答えしていた。
(たまたま最初に隣に来た方が同郷の方だったので、「適当な話題」には事欠かなかった)
そのぐらいの対応力ぐらいはさすがに持ち合わせている。
任務であると判断したら、どのようなことでも実行する。


というわけで、得るべき経験だけを得て、無事帰還した。
(しかし、銀座のクラブに新宿のキャバクラ、と欲しくもない経験だけが溜まっていくな。この次は合コンか?別に構わないが。どうせ私はそれらを全て無化してしまうのだから、何がこようと私が脅かされることはない)


このような展開になることは事前にわかっていたので、これは回避できる事態ではあった。
しかし、私は敢えてこの状況に飛び込んだ。


打算もある。
このような場でしか手に入れることの出来ない情報は、いくら出しても入手することのできないものだ。
また、「単純接触の法則」から、このような場に参加すればするほど、この会の参加者のこちらに対する印象は良いものとなる、ということも解っている。
経験したことのないことを経験できることが、やはりお金に換えがたい価値を持つことであるという認識もある。
更には、未経験の状態ならば「とりあえず」「一度くらいは」という理屈に屈してしまう可能性があるが、経験済みであれば、その経験を元に、丁重に辞退することが出来る。
etc.