よいこの君主論 (ちくま文庫)

よいこの君主論 (ちくま文庫)

書名:よいこの君主論 (ちくま文庫)
著者:架神恭介, 辰巳一世


■評価:良
  情報:△ 新規性:○ 構成:○ 日本語:△ 実用性:○
  難易度:普 費用対効果:○ タイトルと内容の一致:○
  お勧め出来る人・用途 :「面白い」本を読みたい人:名著『君主論』の雰囲気を楽しみながら味わう
  お勧めできない人・用途:冗談の通じない人:『君主論』のエッセンスを理解する


■所感
 初めに断っておくと、本書はエンターテイメントの書である。
 くれぐれも『君主論』をまじめに論じた入門書と勘違いしてはならない。
 (著者を擁護しておくと、本書は『君主論』に書かれていることを解りやすい例と解説で説明しており、その内容には大きな間違いはない。ただ、あくまで本書は「エンターテイメント」として評価すべきだと言いたいのである(実用という観点から読んでしまうと、上述のような高評価をつけることは難しくなる))


 個人的には完全にツボにはまる内容だった。
 著者らの見事な想像力とニヒルで的確な表現には脱帽の一言。
 このぶっ飛び方はかなり好きである。
 エンターテイメントとして十分な面白さを十分に備えつつ、知的でかつしかけが多い。
 おかげで寝不足になってしまった。


 さながら、小学生版「バトル・ロワイヤル」の雰囲気を醸し出しているが、そこまで血生臭くはなく、マイルドである。
 それでいて、純粋なエンターテイメントとしてはこちらの方が上手であるように思う。
 (『バトル・ロワイヤル』はやや生真面目なところがあり、設定を考えても、「エンターテイメント」としてのプレゼンスはどうしても本書に劣ってしまう)


 最後に。
 費用対効果が'○'なのは、あくまで「楽しめる」という点でであり、実用性が高い、という意味ではない。
 何度もしつこいが、本書は「楽しんで」読むことが涵養。
 内容の面白さは確実に保証できる。