[rakuten:book:13463767:detail]
書名:FINANCIAL JAPAN 2010年 02月号 [雑誌]


■評価:良
  情報:△ 新規性:○ 構成:△ 日本語:○ 実用性:○
  難易度:普 費用対効果:△ タイトルと内容の一致:△ 注目記事:あり
  お勧め出来る人・用途 :自分なりの政治、経済に対する軸を持っている人・民主党の(主に)経済政策を客観的に批判する
  お勧めできない人・用途:自分の評価軸を持たず、流されやすい人・民主党を一方的に非難したい人


■所感
 先日お会いした学生時代の同期の方に「河野太郎河野太郎」と言われていたので、目にとまった。
 (なにせ表表紙にでかでかとアップが載っているのである)
 サンプロで見かけた時には、その立場(「小さい政府」)だけはクリアだったものの、印象に残るような主張をしていた記憶がなかったので、良い機会だと思い購入した(民主党の経済政策批判(特に郵政民営化の「逆コース」)にも興味があった)。


 購入の目的だけみると、期待はずれ。
 結局河野太郎は「小さい政府」以外に何も訴えられていない。
 これでは世論は動かない。


 むしろ、表紙には名前も出ていない、茂木さんの方がよほど具体的でおもしろい経済政策を提案していた。
 (興味のある方は読んでみると良い。新規住宅建設の場合のみ贈与税を免除する、という提案で、私にとっては初耳で新鮮だった)


 郵政民営化に関しては、予想通り、「裏事情」のせいで改革が「逆戻り」されようとしているという内容だった。
 例のごとく賛否両論併記されているが、今回の「民営化」阻止側の理論は何度聞いても現実味のない話で理解が出来ない。
 もし本当にこの通りだとしたら、亀井さんはこの国の金融を駄目にした張本人として歴史に名を刻んでしまうことになるが、ご本人にそのお覚悟はおありなのだろうか?


 意外だったのは、「事業仕分け」で、予想に反して興味深い内容となっていた。
 私もメディアの報道だけ見て強い反発を感じていたのだが、枝野さんの説明は論旨明解で非常に納得のいくものであった(感情としては面白くはないが、一本筋が通っているので反論のしようがない)。
 マスメディアが取りこぼしてしまっている、あのイベントの真の意義について知りたい方は一読をお勧めする。
 自民党の谷川さん(この人は真の意味で「大物」だと思った。器が大きい)の批判も含めてあの事象を正確に理解するために必要な情報と見識がまとめられた良い記事である。
 メディアリテラシーという意味でも広く読まれて欲しい記事だった。

 
 他には、「記者クラブ」の弊害が取り上げられていたが、こちらは昔からさんざん言われてきた通りで、鳩山総理も非難を免れない。
 また、竹中さんや木村さん、そして自民党の林さんが指摘しているように、現在の鳩山内閣には日本経済をどうしていくかというビジョン、「マクロフレーム」が欠落している。
 
 
 上述したあたりが本誌の注目記事となる。
 本筋とは関係ないが、マイケル・ムーアの新作『キャピタリズム』に強い関心がある。
 こちらは純粋に私の興味関心・思想信条上、という意味なので、本誌そのものの評とは関係はない。