時計を頻繁に確認しながら
ひたすら飯をかき込んでいた。


オーダーストップの10分前
店に入った
注文から10分以上経って
料理が目の前に出された
それから15分で
閉店の時間だという


まさか懸命に飯をかき込んでいる人をはたき出したりはしないだろうとは解っていながら、
私は慌ててご飯を胃に流し込む。
私の胃腸は泥船よりも脆い。
普段なら1時間はかかる食事を10分で切り上げる。


かっこつけではない。
美学ですらない。
たぶんただひたすら
脅えているだけなのだ。
叱られるのが怖いだけなのだ。
臆病なのだ。
声をかけられたくさえないのだ。


だったらそんな無理をして
食べられもしないものを食べようとしなくとも。
確かにその通りなのだが
明日は珍しく1日中プログラミングなのである
たぶん深夜残業ぎりぎり一歩手前までだけど。
MTGが朝の1時間あるだけで他はずっと机に向かっていればよい
突然呼び出されたりしなければ。
明日かきはじめて明日中に終わらなければならないのだけれども。


結局、リスクを押さえ込もうとするならば
食べないに越したことはないのだ、という以前の結論にまた戻ってきた。
だからこそ、食べられる可能性のある時というのは非常に貴重なのである
たとえそれが23時であったとしても、だ。


だから自分で自分を追い詰めてびくびくしながらも
私は無理にご飯を流し込んでいたのである。
明日どうなるかは神ですら解るまい。
出来るなら明日など迎えたくはないのだが。
そう言えば、明日は冷たい雨が降るという。
・・・まあ、会社までたどり着ければどうにかなるだろう。
どうにかなって欲しいかと言われれば、何とも言えないが。