投票に行ってきた。
今回の選挙では、あまりにも各党(特に民主党自民党)の公約がひどいものだったので、プロテストの意味で(断じてレイジーではない)棄権してやろうか(或いは白票を投じてやろうか)とも考えていた。
が、「民主圧勝」の動向を受けて、「ちょっとこれはまずい」と考えたので、力及ばずと知りつつもバランスを取るための投票を行うことにした。
(ちなみに小選挙区に関しては、幸いにも、うちの選挙区にはまともな候補がいるので悩む必要はなかった)


政権交代」は構わないが、「民主圧勝」は困る。
今の民主には、旧社会党やら日教組やら労組やらと一筋縄ではいかない力がくっついている。
単独過半数では、否が応でも彼らの力が発揮されてしまうだろう。
望ましい結果は、自民・民主双方とも過半数を取り切れずに政界大再編が起こることである。
民主のまともな連中と自民のまともな連中が1つの極となり、今度こそ本格的な「構造改革」を行う、という展開にならなければ、この国の未来はない。
だが、この趨勢ではそれは望み薄であろう。
従って、少なくともこれから30年は坂道を転げ落ちる一方になることは目に見えている。


何が不満かと言えば、(サンプロでさんざん指摘されてきたことと全く同じことであるが)この国の将来像に関して、特に経済構造(何でこの国が食べていけるようにするのか)・外交戦略(国際社会に於いてどのような立場を目指すのか)・防衛戦略(日米安保は?憲法9条は?集団的自衛権は?国際貢献は?)といったグランドデザインを示した政党が1つもないことである。
不幸にもアメリカ発の金融危機という特異事象によって先延ばしになってしまったのだが、この国の産業は既に次の100年において生き延びていけるような構造ではなくなっている。
目先の恐慌回避のための財政出動は当たり前、それが落ち着いたら借金まみれの財政を健全化するのも当たり前で、問題はその次である。
内需主導」
ばかばかしい。
人口減少社会に於いて、これ以上どこに内需の拡大余地があるというのだ。
何故アジアにうって出ようというような話にならないのだ。
財政出動すれば、或いは減税すれば、国民の消費が増えて・・・というのは30年も前のまだまだこの国が発展途上であった頃の発想である。
いい加減にして欲しい。
「ものづくり」
何をつくる「ものづくり」ですか。
これまでの第2次産業に分類されるような「ものづくり」は、高付加価値を生み出しているごく一部の産品を別にして、もうこの国の基幹産業にするわけにはいかないでしょう。
それとも、正社員を全部解雇して賃金の安い「はけん」でものをつくっていきますか。
中国やインドの下請け工場になることがこの国の生き残る道ですか。
何を考えているのだろうか。


確かに霞ヶ関改革は行われなければならず、そのために政権交代が必要なのは確かなのであるが(何せまずは官僚に全部の情報を開示させなければならない)、それはどの党が政権をとって、誰が首相になっても行わなければならないことであり、今回の選挙の争点としては不適当である。


どこの政党も「生活、生活、生活」と有権者に媚を売り、我が党はこれだけ出します、いや我が党はこれだけ出しますと票を金で買うような国民を馬鹿にした公約ばかり並べて40日間も国民の税金で広告合戦を行っている(政党助成金は国民の税金である)。
国民もまた、どの党の「商品」が自分にとって効用を最大化してくれるか、それだけにしか関心がない。
(全てコマーシャリズムが生み出した弊害である。コマーシャリズム、憎むべし)
政治家は国民を馬鹿にし、マスコミはそのような衆愚に荷担して政治をワイドショーにしてしまい、そして、国民は素直に投票に行くのである。


いっそ全国民が現在の政治に、一斉にNOを突きつけてみたらどうだろう。
投票率1桁とかそういう態度で。
という妄想を抱きつつ、まあ、そういう「運動」は、もうポストモダンなこの時代ではつくりえないのだろうな、と諦めている。
この国に民主主義が馴染まないのは昔からのことであるが(だからこそエリートの質の低下は非常に危機的なことなのであるが)、ここまで堕するともう憤りを通り越して、ただただ呆れるばかりである。
この国に未来はない。
それを確信した今回の衆議院選挙であった。


結果?
そんなことはどうでもいい。
どうせこの国は長くはない。


政権交代よりも世代交代だな、一縷の望みがあるとすれば。


[追記]
ちなみに、今回の選挙がどういう位置づけになっているのか、それを知りたいという人は以下の書籍を読むと良い。

日本政治の正体

日本政治の正体


道州制」に関しては、以下の入門書が最適である(何せ提唱者による解説だから)。

[図解]地域主権型道州制がよくわかる本

[図解]地域主権型道州制がよくわかる本


[2009/08/31 追記]
民主、勝ちすぎ。
↓当日はこれを視聴していたため、結果の詳細を見られなかった。
TV局に宣戦布告! 8月30日19〜26時 選挙特番「総選挙2009 歴史は動くのか!?」 豪華キャストを発表!
(ちなみに、この番組は素晴らしい内容であった。さすが高野さん。速記録が以下に公開されているので、是非ご覧あれ。
【速記録】檄論檄場第8回 総選挙2009 歴史は動くのか!? )
で、いったい誰が当選して、誰が落選したのが興味があったので、結果をちまちまと眺めていたのだが(私は新聞をとっていないのである。あんなものはいらん)。
誰?
という候補があまりにも多かった。
これでも結構、政治経済に関してはアンテナを張っているつもりなのだが・・・。
国会議員、こんなにいらないんじゃないの。