セックスレス亡国論 (朝日新書)

セックスレス亡国論 (朝日新書)

書名:セックスレス亡国論
著者:鹿島 茂、斎藤 珠里


期待していた内容とは大きく異なるものだったが、意外にも面白かった。
良書ではないが、暇つぶしぐらいになら読んで損はしない。


ちなみに私が期待していた内容は、タイトル通りの内容で、「このままではこの国は滅びる」という分析とその対策について語るもの(右よりの本ならだからもっと婚姻率を上げて、産め殖やせといった、といった政治家の爆弾発言的な主張、左よりなら政府の子育て支援がどうのこうのといった決まり文句)だった。
で、上記の括弧の中のような聞き飽きた理論ではなく、男女関係のあり方についての新しい提案のようなものがあれば面白いかなと思っていたのだが・・・。
実際の内容はどちらかというと動物行動学的な視点から見た昨今の男女関係のあり方と、鹿島「先生」の大胆な仮説によるその説明、という感じのものだった。
まあ、それはそれで内容が面白ければよいのである。


前半の「面倒くさがり」理論は、半分は合っていて(昨今の男性が女性との関係に消極的なのは、単に面倒なことを避けようとしているからだ云々)、半分は間違っている(面倒な人に利便性を提供したのが資本主義の発展で、資本主義の発展が更に面倒くさがりな人間を助長させているという循環)。
だが、この手の本は科学的・統計的根拠の薄い「学者先生」のトンデモ理論ばかりなので、半分も納得出来る理論を展開できれば上出来である。


面白かった部分は後半の歴史についての話。
資料が明らかにされていないので、どこまで本当の話か眉唾ものであるが、まあ、そこは一歩引いて、1つの解釈と思って読めば、それなりに読める内容。
結局どれだけ飾ったところで人間はサルなのだということが解る。


真面目に読むと肩すかしをくらうので、肩の力を抜いて、暇つぶしくらいのつもりで読むと良い。