書名:論理的にプレゼンする技術 聴き手の記憶に残る話し方の極意 (サイエンス・アイ新書)
著者:平林 純


良書。
読んだ内容をすぐに自分のプレゼンテーションに活かすことが出来る。
私も自分の報告直前に本書を読んだが(本当はこの行為は自殺行為。本番前に新しい理論・技法を詰め込もうとするのは逆効果である。本書が「理論の書」ではなかったので運良く悪い影響を免れたが)、何点かのポイントを自分の報告にすぐに反映できた。


上記括弧内の記述にあるように、本書は理論の書ではなく、実践の書。
資料の作り方、プレゼンテーションの行い方に関して、重要なポイントを並べていく形式で記述されている。
自分が気になっている点、強化したい点、分からない点だけを読んでいくだけでも役に立つ。


専用ソフトウェアを利用してのプレゼンテーションを前提としているが、現在プレゼンテーションソフトを用いないプレゼンテーションなどほとんどないので特に問題にはならない。
むしろ、そのような前提の下、どのような資料を作成すると効果的かに関して重要な示唆(図と文字の配置など)が具体的に述べられている点が本書の長所である。
世の多くのプレゼンテーションの本が、そのような「偏り」を除こうとして役に立たない「心構え」の書となってしまっているか、逆に専用ソフトの使い方の説明に頁を割きすぎてしまって「取扱説明書」化してしまっているのに対して、本書の専用ソフトに対する距離の取り方は適切である。


科学的根拠が怪しい記述もあるが、そこは自分の判断で採用する・しないを判断すればよい。
(そもそも合う、合わないの相性の問題もあるのでそこは各人が自らの頭で判断すべきポイントである)
繰り返すが、本書は「理論の書」でない。
自分のやり方で何故か上手くいかない、という人は本書を1つのヒントとすればよいし、そもそも自分のスタイルを築けていない、という人は、本書を参考に自分なりのスタイルを構築すれば良い。


費用対効果の点からも薦められる1冊。
内容も平易で読みやすいのでとりあえず何か1冊読みたい、という人には本書をお勧めする。