吟遊詩人ビードルの物語 (日本語版)

吟遊詩人ビードルの物語 (日本語版)

書名:吟遊詩人ビードルの物語
著者:J.K.ローリング


読了は3/23。
amazonの評は今ひとつだったみたいだが(詳しくは確認していない)、個人的には良。
J.K.ローリングは信頼できる作家だということを、件のシリーズの最終巻で学習していたので、比較的安心して読んでいた。
(「信頼できる」というのは、私の基準では「哲学的に深い意味を持つ物語」或いは「よく練られた質の高い物語」もしくは「人の心の琴線に触れるような著者の思いが伝わる物語」を書くという意味であり、そのような作品を1作でも書けるということは、その作家の質を保証するものであるから「信頼できる」とみなすのである。俗に言う「ハズレがない」に近い。無論、裏切られることも多々あるのだが)
↑この傍白、邪魔ですねぇ。


本作のメインはやはり本編の最終巻で重要な役割を果たした「三人兄弟の物語」であるが、私が個人的に気に入ったのは、「毛だらけ心臓の魔法戦士」の方である。
人間の人間らしい感情を目的を遂げるための障害物とみなし、それをコントロールするために、禁じられた術に身を染め、あげく結局コントロールしきれずに自滅するというこの物語には、非常に感じさせられるものがあった。
そしてそれが真実であることをしりながらも尚、己の態度を改めようとしない愚かな我。
ああ、愚かなり。
・・・・・・。
てめぇのことなど聞いてねぇよ、書の評を書けよ。


何やらよく解らない書評になってきたが、収録されている作品はそれぞれそれなりに面白い要素を含んだ物語で、さすがJ.K.ローリングといえる出来となっている。
「毛だらけ心臓の魔法戦士」と「三人兄弟の物語」が突出して意義深いので、そのほかの作品がやや平凡に見えてしまう(特に最初の作品のメッセージが個人的にはよく解らなかった)が、まあ、そこは好みの問題もあるので、全部読んでみるとよいだろう。
一読の価値はある良書。
ハリーポッターを読み通した人は是非読んでおきたい本。