非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークVIII

非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークVIII

書名:非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉
著者:石田衣良


まあまあ。
って、結局買っちゃったのね。
この記事はどうなったの?
まあまて。
確かに私はこのシリーズを2度と読むまいと決意した。
だが、この巻の副題を見て、考えが変わった。


かつて私が石田衣良を高く評価したのは(相変わらず偉そうに書くなぁ)、彼の弱者への視点、思いやりが優れていて非常に共感できたからである。
社会のアウトサイダーに対して、これほど思いやりに満ちた物語を語ることが出来る作家は、未だに彼以外思い当たる人がいない。
だから、そういう視点が失われて単なるエンターテイメントと化した(しかも期待したほどには面白い物語ではなかった)6・7巻を読んで、このシリーズとの決別を決意したのである。


が、副題を見れば解るように、石田はまた弱者を語ろうとしている。
些かファッションの気配も漂ってくるが、これは、もう1度だけ試してみる価値はあるのではないか、そう考えたのである。


で。
どうだったのさ。
うーん。
可。
良にはちょっと届かない。


確かに、彼らしさは発揮されていた。
が、些か拍子抜けするほど緊迫感が無くなっていた。
なんというか、アウラが感じられない。
書きたくて書いた、という作品よりも、書こうとして書いた、作品のように思える。
その分、降りてきているものが不足している気がする。
彼が訴えたいことは解る。
が、敢えてそれを小説として表現する必要があったのか。
熟成するまでもう少し寝かせておくべきではなかったのか。
やはり、時流に乗りたかったのだろうか。
読者にそういう邪推を抱かせるようでは、駄目なのである。


姿勢としては、良いと思う。
が、判断は保留。
やはりこのシリーズはおしまいにしてしまった方が良いのではないか。
まだそう思わざるをえない。