SEからコンサルタントになる方法

SEからコンサルタントになる方法

書名:SEからコンサルタントになる方法
著者:北添裕己


良書・・・だと思う。
個人的には。
読んだからといって、すぐにコンサルになれるわけではないのだが、まあ、タイトルに関しては勘弁してもいいだろう。
少なくとも本書の内容はタイトルから大きく外れてはいないのだから。


本書の内容は、SEに対してコンサルタントの仕事を紹介するような感じになっている。
コンサルタントの中でも、システム系のコンサルタントの業務を中心に紹介している。
また、その中(というカテゴリは正しくないのかも知れないが)でも、PMOについて、ある程度具体的なイメージが出来るレベルの説明がなされている。


本当にコンサルタントになりたいSEは、この程度の初歩的な知識は持っているだろうから、タイトルとはことなり、本書の対象読者は、(なりたての)PMや、現場の開発者となるだろう。
コンサルが現場に入ると、プロジェクトに対してどういう役割を演じるようになるのか、問題プロジェクトに対してどういう処方箋を書くのか、或いは炎上プロジェクトをどう始末するのか(・・・恐ろしや)、といった、プロジェクトに対する「鳥の視点」が身につく。
また、実際に所属しているプロジェクトにコンサルが入ってきた場合の対処法(いいのか?まあ、開発者は開発者なりの立場があるからなぁ)も考えられる。
PMになることを考えている人、PMになりそうな人(この表現には問題があるなぁ)は、この手の本を1冊くらいは読んでおく必要があるだろう。
先にプロジェクトに対する「鳥の視点」と書いたが、PMの視点の更に上、メタのメタの視点のことを指す。
つまり、PMも含めた、「マネジメントされている」プロジェクトに対する鳥瞰図である。
これが以下に有益な情報であるかは、なんらかの(システム開発系の)プロジェクトに関わったことのある人なら解るだろう。


それにしても、最近「業務効率改善」勉強会のために、やたらコンサルが書いた本を読んでいるのだが、コンサルが語る具体例(自らが関わって成功させた案件)が、ことごとく「自慢話」に聞こえて、やや鼻につく気がするのは気のせいだろうか。
まあ、あの業界は、自己アピールがしっかりと出来ないと(つまり自分の有用性をクライアントにしっかりとアピール出来ないと)すぐに切られる厳しい世界だからなぁ。
必然的に生き残っている人種はこういう「自分にものすごく自信のある」人ばかりになるんだろう。


もう少し、情報が盛り込まれていても良かったような気がするが、読みやすく、簡潔で、有益な書なので、私の評としては良書。