狙い撃ち

1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術

1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術

書名:1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術
著者:斎藤岳


良書。
およそ会議・打ち合わせで起こりうるであろう(社会人経験の浅い私が考える範囲なので間違っているかも知れないが)ほとんど全ての事象や問題が網羅されている。
その全てに対して、「具体的」な対策を提案しているところが、本書の特長である。


本書の特長は更にあと2つある。
1つは、「手にした100万円でどこに家族旅行に行くか」という議題で、ある一家に家族会議をさせ、そのフィクションを実際の(ビジネスの現場で行われる)会議のアナロジーとして見せているところ。
実にわかりやすい具体例の提示の仕方である。
実際の会議は問題が複雑に入り組んでいて、現在どのような局面で何が(誰のどのような発言・行動・態度が)問題であるのか、把握することすら難しい。
かといって、それを言葉で述べるだけでは、具体的なイメージが浮かばない。
フィクションは、この両極端の問題を解決する(この場合)最良の手法である。
ただし、フィクションは、よほど上手く作らないと読み手をしらけさせるというリスクがある。
本書のフィクションは、要件を十分に満たしている佳作である(ウケをとる必要がないので面白くなくてもリアリティがあれば十分)。


もう1つは、会議の各フェーズをしっかりと分割して説明していることである。
そのことで、「こういった発言・行動は、このフェーズでは奨励されるが、このフェーズでは許してはならない」といったことが実に解りやすく説明されている。
(その逆の悪い例が、「こういう場合もあるが、こういう場合もある」とか、「こういうときには良いが、こういう時には良くない状況を引き起こすこともあるのでTPOに応じて使い分ける」といった、場面設定をせずに、とにかく著者の意見を並べているだけの説明である。そういうまとめ方をしていると、"TPO"などという、その書を読む意義をかき消してしまうような(だって、TPOに応じて対応することが出来ればそれは「仕事が出来る」という意味だから、問題解決のための本なんか読む必要がないでしょ)言葉を乱発する悪書になってしまう)


イデアを出しやすい状況を作る→相手の意見を褒める→(具体的にどういう言葉で?どのタイミングで?)というように、ところどころ「で、具体的にはどうすればいいの」とか「本当にそんな言葉でみんなついてくるの」といった、詰めの甘い部分が見られるが全体的には、最初に述べたように、起こりうる問題の全てとその対策が網羅されている良書。
ビジネスマン必読の書である。
とにかく1度読んでおくことをお勧めする。