Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

書名:Hot Pepperラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方
著者:平尾勇司


良書。
今年読んだビジネス書の中で、『「残業ゼロ」の仕事力』と並んで、最高の評価を与えられる佳作。
ビジネス書に限らず、今年読んだ本の中でも(記憶している中では)もっとも読んでいて興奮を覚えた(ハリポタよりも)。
これは・・・すごい。
すさまじすぎる。


ここには、「成功する事業の作り方」の全てが書かれている。
勿論、これは1つの成功例に過ぎない。
ここに書かれていることをまったく同じように真似しても、事業を成功させることは出来ないだろう。

だが、それは愚者の発想である。
本書から吸収すべき最重要事項はその「マネジメント手法」ではない(取り入れられる良い手法は取り入れるのは当たり前だが、自社(或いは自分のチーム)との適合性を考えなければ、とんでもない目に遭う。その辺りの指摘は、以前紹介した『御社のトップがダメな理由』にある)。
「なにがダメだったのか」という失敗の事例とその分析である。
他人の成功例を真似るのではない、他人の失敗例から学ぶのだ。


だから、本書の優れている点は、「こうしたから成功した」という成功の理由だけを説明しているのではなく、それ以前の不採算事業(サンロクマル)のどこがダメだったのか、を徹底的に分析した上でそれをどう変えたか、という論の展開となっていることであるか。
すなわち、「いったい何がダメだったのか」をしっかりと書いてあるということである。


現実世界の事象は複雑怪奇である。
100%こうだ、と言えることなどない。
だが、「こうするとほぼ100%ダメだ」ということは確かにある。
このような「成功ストーリー」を読むことの意義は、それをあらかじめ知識として知っておくことで、そのような失敗を回避する可能性を高める、ということの意義にある。


・・・・・・。
今日は中身の説明はしないのか。
中身は・・・とにかく読むべし。
読めば解る。
(別に私は東洋経済新報社リクルートや、ましてやAmazonの回し者ではない。これはあくまでストーリーなのだから、通して読むことに意味がある。要約してもあまり意味がない)


それにしても、リクルートはすごい。
リクルート卒業生が起業家となり、数々の事業を成功させているという噂だけは聞いていたが、まさかこんなにすさまじい人材を輩出していたとは思わなかった。
分析力・判断力・発想力・決断力・行動力・体力・気力・・・経営者に必要なほとんど全ての要素を兼ね備えている化け物だ。
このような優秀な人材には、外国や外資などに行かずに、もっと日本の経済を活性化させてほしいものである。
(おいおい、あんたがコマーシャリズムの片棒を担いでどうする)<いや、それとこれとは別の話だろ>


ホットペッパーが化け物事業になったことは、もはや誰の目にも明らかであるが、後発のR25も大きな成功を収めている。
そこら辺のことが知りたい人は、以前紹介した『フリーペーパーの衝撃』を読むと良い。
マーケットターゲティングの妙を知って驚くことになるだろう。


結局内容の紹介をしなかったのは、1人でも多くの人に読んでほしいからである。
(嘘つけ。付箋のつけすぎで、要約するのが面倒になっただけだろ)
「ストーリー」の名は伊達ではなく、「物語」としてもおもしろい内容・構成になっている(この辺りはさすが。編集者の腕も誉められたものである。イラストもgood)。
是非是非是非。