「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

書名:「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット)
著者:J. K.ローリング(松岡佑子:訳)


読了は間違いなくこの週なので(結局読んだのね。意志の弱い人)、便乗。


ようやく完結。
10年越し(日本人にとっては8年越し)の完結なのだが、私にとっては3年越し。
1〜3巻までは某ちり紙交換の店で、100円で購入。
4〜5巻は図書館でレンタル。
6巻は知人からレンタル。
で、ここまでつぎ込んだお金はたったの300円、というのが自慢だったのだが、
7巻は予約して買ってしまった。
まあ、予約したのはたまたまであり(amazonカードが手元にあったので、買おうと思っただけ)、新刊を躊躇無く注文してしまえるのは社会人の特権なのだが、6巻を読んで非常に結末が気になっていたことは確か(多分結末を知る前に死んだら化けて出てきていただろう。もちろん冗談だけど)。<あんたの事情はよいから、書の評をせよ>
はい。
良書です。


まだ読んだことのない人は、1巻から全部読むべし。
どんな人にも自信を持って勧められる、ファンタジーの最高傑作の一つであることは間違いない。
指輪物語』『ナルニア物語』などの古典や、『ゲド戦記』など評価が確定している良質のファンタジー、或いは『果てしない物語』『モモ』などのミヒャエルエンデ作品と並んで、後世に残る作品であることは間違いない、と本書の結末を読んで確信した(節操のないコマーシャリズムが、よほど馬鹿な使い方をしなければ、という留保は残るが)。
大袈裟ではない。
これは・・・すごいですよ。


もう何がすごいかは読んでもらうしかない。
何を書いてもネタバレになってしまうので(最終巻に関しては特に)、中身については書かないが、良かった点を2点だけ。
1点はストーリー。
「プリンス」のストーリーが感動的でした(解らない人は6巻を読むこと。勿論、その前の巻も全部読むこと)。
人の思いの純粋さというものをこれだけ上手く描けているストーリーは滅多にない。


もう1点は哲学的視点。
「これは現実に起こっていることなんですか。それとも僕の頭の中で起こっていることなのですか。」という問い。
「これはお前さんの頭の中で起こっていることだが、だからこそ現実なのだ」という答え。
(※台詞は正確なものではない。内容も、もしかするとやや違うものであったかもしれない。が、ここは引用ではないので敢えて確認はしない)
「深い」
「著者は哲学者だ」
と喜びを隠せなかった。
本物のファンタジーは、哲学的に考えさせられる深さをもっているのだ(フィクションの中では特にファンタジーが、どのジャンルにも勝って哲学的である。これは私の物語論による(が、残念ながら8/28時点でまだ私の物語論は1文字も書けていない))。


非の付け所の無いほどの大傑作であるが、1点だけ気にくわない点があった。
最終章(?)はいらない。
「その後」的なものは読者サービスとして必要だったことは認めるが、いいよ、もう解るから。
無理に「これはハッピーエンドなのだ」と強調しなくても。
この辺、イギリス人なのにアメリカ人っぽいなぁ(もしかしてアメリカ人に配慮したのか?ちぇっ)と思ってしまってわずかに減点。
後は完璧。


繰り返しになるけど、読んだことのない人は、読まないと人生上大きな損失となることを警告しておく(大袈裟だなぁ)。
間違えても映画を見た、ではいけない(映画はひどかった。3で見るのをやめた。それもDVDを貸してもらったから見ただけで、実は見たいとは思っていなかった。結果はやはり見ない方が正解だった)。
本を、読むのだ。