深夜特急1?香港・マカオ? (新潮文庫)

深夜特急1?香港・マカオ? (新潮文庫)

書名:深夜特急〈1〉香港・マカオ
著者:沢木耕太郎


同期の方から貸して頂きました第9弾。
うーん。
コメントに困る。


もともと紀行文には興味がない。
恐らく「旅」に興味がないからだろう。
まだ見ぬ異国の地に対するあこがれはない。
目的のない旅に出ることへの衝動を感じることもない。
この体を引きずっていく限り、どこに行っても感じることに違いはない。
「ここではないどこか」がないことが解るくらいには覚めている。


私の旅無精は読書で補填できている。
私は、五感よりも観念で感じとることを悦ぶ。
イメージが形成できれば、実際にそれを視認出来なくとも構わない。


歴史が絡むならまだ読める。
ものそれ自体が歴史を物語ることもある。
旅行者の旅に合わせて歴史がオーバーラップしてくることもある。


本書の旅行者の旅には目的がない。
若者の一人旅なのだから目的がないのは当然なのだが、これがまた安保崩れの若者だからアナーキーぶりに磨きがかかっている。
とはいっても、せいぜいヒッピーがインドに行って中途半端な無茶をして帰ってくるようなもので、当の本人にとっては意義深い旅だったのかもしれないが、私にとってそれはなんの感慨も呼び起こさない。


アナーキーであることそのものは悪いことではない。
しかし、小賢しさから、起こりうる危機的な状況を未然に回避してしまっていたりして、中途半端で面白くない。


せめて、旅先がインドならば・・・。
インド編もあるらしいが、著者のナルシシズムにはこれ以上つきあいきれないので、この1冊で切り上げさせていただく。


興味のある人が読めばよい本。