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- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/30
- メディア: 文庫
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著者:沢木耕太郎
同期の方から貸して頂きました第9弾。
うーん。
コメントに困る。
もともと紀行文には興味がない。
恐らく「旅」に興味がないからだろう。
まだ見ぬ異国の地に対するあこがれはない。
目的のない旅に出ることへの衝動を感じることもない。
この体を引きずっていく限り、どこに行っても感じることに違いはない。
「ここではないどこか」がないことが解るくらいには覚めている。
私の旅無精は読書で補填できている。
私は、五感よりも観念で感じとることを悦ぶ。
イメージが形成できれば、実際にそれを視認出来なくとも構わない。
歴史が絡むならまだ読める。
ものそれ自体が歴史を物語ることもある。
旅行者の旅に合わせて歴史がオーバーラップしてくることもある。
本書の旅行者の旅には目的がない。
若者の一人旅なのだから目的がないのは当然なのだが、これがまた安保崩れの若者だからアナーキーぶりに磨きがかかっている。
とはいっても、せいぜいヒッピーがインドに行って中途半端な無茶をして帰ってくるようなもので、当の本人にとっては意義深い旅だったのかもしれないが、私にとってそれはなんの感慨も呼び起こさない。
アナーキーであることそのものは悪いことではない。
しかし、小賢しさから、起こりうる危機的な状況を未然に回避してしまっていたりして、中途半端で面白くない。
せめて、旅先がインドならば・・・。
インド編もあるらしいが、著者のナルシシズムにはこれ以上つきあいきれないので、この1冊で切り上げさせていただく。
興味のある人が読めばよい本。