カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)

書評:カラマーゾフの兄弟〈中〉
著者:ドストエフスキー(原卓也:訳)


ややパワーダウンか。
この巻の大半をミーチャがもっていっているからかもしれない。
私はどうもミーチャのようなタイプに感情移入が出来ない。
かつて自分が同様の直情径行型であったことから気持ちも分かるし、憐憫の情も抱くのだが、むしろだからこそそういう「愚かな人」を見ていられないのかも知れない。


前半のゾシマ長老の回顧談(アリョーシャによるアレンジ)も期待したほど面白いものではなかった。
結局、私はイワンがもっとも自分に近いと感じるし、イワンの展開する理論が耳に心地よいのだろう。
この巻に対する不満はひとえに彼の不在によるものに違いない。


彼の帰ってくる(であろう)下巻に期待。