大隈塾・経済編 (Okuma school review)

大隈塾・経済編 (Okuma school review)

書名:大隈塾・経済編 (Okuma school review)
著者:田原総一朗ほか<ちなみに、「経済編」というタイトルになっているのは、はてなさんの間違いです。>
2005と書いてあるから自分が受けた授業の次の年度のものだと思って読み始めたのだが・・・。
読んでいくうちに妙な既視感を覚えたので確認してみたら、出版が2005年の5月だった。
ということは、内容は2004年度のもの。
と、いうことは、これはまさに私が受けた授業だ。
どうりでゲストのラインナップと話すテーマが似ていると思ったわけだ。
私もまだぼけてはいないらしい。


受講当時のことはまだ覚えている。
私の年度から3年生以上も受講対象となったおかげで私はこの授業を受講することが出来た。
ちなみに、受講許可が降りたときのことは記録している(これ それにしても過去の日記はやはり恥ずかしいものである)。
最初の授業で田原総一朗に質問をしたら議論が沸騰したことや(ノーブレスオブリージの話をしたら、「自己犠牲」と言うフレーズが逆鱗に触れたらしく、「君は他人のために死ねるのか」「はい」という問答になった記憶がある。記録では詳細は書いていないが)、ゲストの話と田原総一郎とのやりとりが凄まじい情報量だったので、始めの数回で自分が質問をすることを諦めて、聞き手に徹することにしたこと、岸井成格という「歴史」観を備えた「本物の」ジャーナリストという存在に出会えたこと、などなど。
(それにしても私は個人的に田原総一朗とは相性が悪いようだ。後に大隈塾のゼミで田原氏がゲストに来ていたときに質問をしたことがあるのだが、これがまた上手く噛み合わなかった。 その時のブログ)


大学には天才に会いに行ったつもりだったのだが、結局学生ですごいと思えるような人には出会わなかった(そんなすごい人はまともに授業になんか出ないということに気づいたのは、4年生になってからだった。相変わらず鈍い)。
その代わり、その道のプロの人、一流の研究者及びジャーナリストと出会い、多くのことを学ぶことが出来た。
私があまりにも卑小すぎて、彼らの薫陶を活かすことは出来ないであろうことは残念であるが、私個人にとっては大いに有意義な時間を過ごせた。


あれから3年経って今その講義の内容を読み返しているのだが、改めてその恐ろしいまでの情報量に圧倒される。
これだけ刺激的な内容の生の情報のシャワーを浴びせられたら、少なくともその中から大物になるものが出てきてもおかしくはないだろう。
もっとも、私の実感としては受講していた彼らが特別優秀という訳でもなかったので、意外に生で授業を聞いていた人よりも講義録読んで感銘を受けた人から人物が排出されるかもしれないが。


大物になる、ならないはどうでもいいとして、政治家を志すもの、ジャーナリストを志すものは読んでいて損はしない、いやむしろ必読の書と言える。
田原総一朗現代日本に於いてまれに見る大人物である。
多くの大物が彼という媒体を通して重要なメッセージを発信する。
我々はその重要なメッセージを書を通じて受け取ることが出来る。
この機会は逃すべきではない。


それにしても、今のところ有力な後継者がいないのがなんとも残念ではある。