11/5である。
ちなみに最初の箱は仕事場のブース(かなり広い)で、後の方の箱は飛行機。


マニ教 (文庫クセジュ)

マニ教 (文庫クセジュ)

なんでまたそんなマイナーな宗教に?と思われるかも知れないが、マニ教は数あるマイナーな宗教でも(その筋の人にとっては)<ってどの筋だよ>そこそこ有名な宗教である。
人に説明するときは(何で私が説明しなきゃならないんだよ、と思いつつも)、解りやすさを求める場合には、「風の谷のナウシカ(漫画版)」で描かれていた宗教の元ネタである、ややアカデミックに披瀝してみる場合には、かの有名な哲学者でありキリスト教の教義(特に三位一体)を確立したアウグスティヌスが青年時代に入信していた(そしてそこからの改心が彼のキリスト教への情熱となった)宗教であり、キリスト教が体系だった宗教となる契機となった重要なアンチテーゼの役割を果たした宗教である、というふうに語っている。


だが、私の興味関心は、キリスト教異端思想グノーシスの一端としてのマニ教にある。
何故そこまで私がキリスト教異端思想グノーシス主義に傾倒しているか(信仰心はみじんも持ち合わせていないが)というと、その極端なまでの肉体否定にある。
グノーシス主義の教義に共通しているのは「この世界は偽りの神によって創られた下位世界であり」、「我々の魂(マニ教だと光)は偽りの神によって肉体という檻に閉じこめられている」ということである。
私はそれを宗教として信じるというよりは、美しい物語としてより洗練させ、自ら保持したいのである。


で、肝心の本の評価。
この書籍は研究論文であるため(しかも網羅的な研究)、それまでの研究に対して史料を用いて批判を加えることにあり、勿論研究者ではない(そもそも宗教学など受講したことがない)私にとっては理解できない要素が多々あった。
が、入門書でないにしては、初心者にもわかりやすくマニ教について解説していたように思う(教義以外は)。


そう、肝心の教義についての解説が、これではさっぱりなのである。
マニ自身の生涯については非常にわかりやすく書いており、それによって、私が誤解していた点(もっと西方の宗教であった、もっとマイナーな宗教であった、ゾロアスター教や仏教の影響は受けていなかった、現地宗教と結びついたエキゾチックな宗教であった)は本書により修正されたが、肝心の教義についてはまったく解らなかった(これは私の理解力の問題だけではなくて、おそらく誰が読んでもさっぱりであろうと思われる)。
はぁ。
やはり大貫さんの『グノーシスの神話』を買うしかないのか・・・。