シェエラザード(上) (講談社文庫)

シェエラザード(上) (講談社文庫)

シェエラザード(下) (講談社文庫)

シェエラザード(下) (講談社文庫)

ばらばらな点が線で結ばれ、最後は一つの織物となる。
いつもながら作家の構想力には感心させられる。
浅田次郎は例え書いたものがサスペンスだとしても(この作品はサスペンスとしては先が解りすぎていてあまり面白くはない)、人情ものとして読まなければならない。
人一倍苦労をして夢を手に入れた作家だから、人生の機微をよく理解している。
そしてこの書は同時に彼の太平洋戦争観並びに戦後民主主義批判を含んでいる。
鉄道員」や「メトロ〜」にはかなわないが、良作。