偽りの理
- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2002/01/22
- メディア: コミック
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- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2010/11/22
- メディア: コミック
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作者:荒川弘
■評価:可
物語:△ 情報:− 斬新さ:× 意外性:△ 含意の深さ:△ ムーブメント:△ 構成:○ 日本語:○
難易度:易 費用対効果:△ タイトル:−
お勧め出来る人 :エンターテインメントを求めている人
お勧めできない人:示唆に富んだ物語を求めている人
■所感
結論から述べると、もったいない。
これだけの仕掛けを盛り込んだのだから、もっと含意の深い内容の作品に出来たはずであるのに、そこはなおざりにしてエンターテインメントの方に走ってしまった。
おかげで(良い意味で)こちらの期待を裏切りもせず、王道中の王道を突っ走ってアメリカ式のベタなまとめ方をしてしまった。
(何が「アメリカ式」なのかは『ハリー・ポッター』の(どう考えても無駄でしかあり得ない)最終章を読めば解る)
この作品からは「ガンダム」も「エヴァンゲリオン」も「ハリー・ポッター」も感じられる。
が、そのいずれも使いこなせていない。
広げた風呂敷に見合った中身がみられなかったのは大変残念であるが、これも某雑誌連載作品の宿命なのかもしれない。
(ん?藤原 カムイさんの有名作も確か同じ出版社だったような・・・)
結局この作品のテーマは「人間が人間であることの本質とは何か」という点に集約されるが、消費された(それこそ文字通り消費された)命に対して得られた「気づき」があまりにも小さい。
繰り返しになるが、本作はあくまでエンターテインメントとして読むべきであり、それ以上のことは期待しない方が良い。
と、酷評をしてきたが、純粋なエンターテインメントとして読むのであれば本作は十分にそれに耐えうるだけの要素は備えている (クオリティは決して低くはない)。
そこは完全に割り切りの問題だろう。
それにしても・・・最近のコミックやアニメーションの特徴だろうか。
犠牲とそれが持つ意味との釣り合いがとれていないような気がする。
1人1人の「死」にはそれ相応の重さ・意味がある。
最近はそれがあまりにも軽くなりすぎているように感じる。
その場面で語ろうとしていることは本当にそれだけの犠牲を必要としていることなのであろうか。
疑問を禁じえない。
個人的には、キャラクタデザイン的に「途中で脱落して主人公に花を持たせる役」的な顔をしていたキャラクタが最後まで主線にとどまっていたことが意外だった。
相手さんの人数が多いので員数合わせに・・・とは思いたくはないが、まあ、個人的なツボなので書評とは無関係の話。
しかし、あの顔、あの性格でねぇ。
■読了日
2011/08/16