まずは働いている人が喜びを感じる場所であること
なんどもなんども行きたくなるディズニーランドの不思議 (中経の文庫)
- 作者: 芳中晃
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2007/01/01
- メディア: 文庫
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著者:芳中晃
■評価:良
情報:○ 新規性:○ 構成:○ 日本語:○ 実用性:◎
難易度:易 費用対効果:◎ タイトルと内容の一致:△
お勧め出来る人・用途 :自分の或いは会社の「サービス」のあり方について考察したい人・「サービス」のあるべき姿についてのヒントを得る
お勧めできない人・用途:ディズニーランドのリピート率の高さについて知りたい人・ディズニーランドの魅力について知る
■所感
最初にことわっておくと、本書は「あるべき『サービス』についての論考」の書であり、「ディズニーランドの魅力の秘密」についての書ではない。
そのような書を期待している人は他の本をあたることをお勧めする。
ちなみに、本書に於いて著者が主張する「ディズニーランド」の魅力をまとめると、
「非日常」の中で受ける最高のサービスがもたらす感動体験
という感じになるが、本書にタイトルのような内容を求めている人は、本書の立場は上で述べたようなものであるから、それでもう本書は必要がないものになるだろう(著者と出版社には申し訳ないが、事実である)
本書の真骨頂は、「楽しく魅力に溢れた『非日常』を提供するディズニーランドを支えている『サービス』が如何にして生み出されているか」について諸処にちりばめられている仕組みとその根拠、そしてそれらのバックボーンにある理念の部分である。
さすが、「お客様への質の高い」サービスを考え、提供し続けることにこだわっている著者である。
説明は簡潔平易で、しかも理論的根拠もしっかりしている。
非常に内容が理解しやすく、ページの進みも早い。
実用性・費用対効果共に抜群である。
また、本書は使用者(経営者)にとっても読む価値のある書である。
著者の主張としては、高いリピート率←最高のサービス←最高のサービスを提供する「キャスト」←最高のサービスを提供するための「キャスト」の教育、と演繹している。
そして、「キャスト」の教育をどのようにすれば良いか、「ゲスト」であるお客様に喜んで貰えるか、ということを解りやすく丁寧に説明しているのである。
しかもその理論は、きちんとした著者の「運用実績」に基づいた理論であるから、その信憑せいも高い。
この国の産業構造から考えても、ほとんど全ての労働力人口が「サービス」を提供している。それらの人にとっては、本書から学ぶべきところが必ずあると言って過言ではないだろう。
是非。
■読了日
2010/10/01