もっと言ってくれ!
対談:勝間和代, 堀江貴文, 西村博之
■評価:良
情報:○ 新規性:◎ 構成:△ 日本語:△ 実用性:−
難易度:やや難 費用対効果:◎ タイトルと内容の一致:○
お勧め出来る人・用途 :ひろゆきの価値観に共感する者・ひろゆきの透徹な世界解釈に気づきをもらう
お勧めできない人・用途:勝間さんの信奉者・勝間さんが二人と丁々発止議論を闘わせるさまを眺める
■所感
冒頭に「勝間さんがひろゆきとの対談で暴言を吐き、その後ブログが炎上した」とあったので、これはとんでもない対立があった・・・のかと思いきやそうでもなかったらしい。
ネタバレになってしまうが大したオチではないので、書いてしまう。
二人とも寝不足で機嫌が悪かった
らしい。
ということであるから、本書に三者の、特に勝間さんとひろゆきの息詰まる舌戦を求めている人は、本書を読むことをやめた方が良い。
雰囲気は常に和やかで、対立の「た」の字も感じ取れない。
また、勝間さんの信奉者は意外(?)な勝間さんの過去の暴露話が収録されているので、読まない方が懸命かも知れない。
少なくとも勝間さんを新時代の女性ニューヒーロー(マスコミの取り上げ方で例えるならばアメリカ大統領選挙時のヒラリーさんのような)として信じて止まない人は、その輝かしいイメージをとどめるために、本書は避けるべき最も危険な本だと言える。
尤も、勝間さんの望みは全く逆で、本当はこの本に書かれているようなことを伝えたいと思っているのだということが、冷静に読めばわかるのであるが。
それにしても。
デフレの話を聞いてくれるというのでコスプレをしました
と臆面もなく述べる勝間さん、あなたは意外にお人好しなのですね。
まあ、イノベーターは得てしてあけっぴろで性善説で人を信じ、尚かつ自分の可能性も信じて疑わないというポジティブシンキング、というタイプが多いのであるが。
乱暴にまとめてしまうと、
となるだろうか。
(全部誉め言葉のつもりです。あしからず)
ソクラテスとエピクロスとショーペンハウアーの鼎談を聞いているかのようでいて、3人とも妙に意気投合してしまっている様が端から眺めていて面白い。
個人的にはひろゆきの意見に全面的に共感することが多かった。
著書から怜悧な人間であることは分かっていたが、本対談の中でもはっとさせられるような発言を幾つかしている。
特に消費と仕事との関係に関する言及が秀逸。
メンバーの内、誰も知らない人でも楽しんで読め、かつ気づきを得られる良書。
是非。
■読了日
2010/09/11