折れそうな心の鍛え方 (幻冬舎新書)

折れそうな心の鍛え方 (幻冬舎新書)

書名:折れそうな心の鍛え方 (幻冬舎新書 144)
著者:日垣 隆


■評価:可
  情報:○ 新規性:△ 構成:× 日本語:○ 実用性:△
  難易度:易 費用対効果:△ タイトルと内容の一致:○
  お勧め出来る人・用途 :自分は「うつ」なのではないかと思っているが、周囲の目が怖くて何も言えないでいる人(特に自分の状況は「特別」なのではないかと思い込んでいる人・冷静に自分を見つめ直す
  お勧めできない人・用途:現在「うつ」の診断を受けて治療中の人・自力で「うつ」を治してしまう


■所感
  口達者で皮肉屋な日垣隆のことであるから、また相当な「軽口」をたたくのだろうと思って、半分引いた姿勢で読み始めた。
  (彼の本を読むときはこのぐらいの姿勢でちょうどよい。そうしないと足下をすくわれる)
  が、意外にも(失礼!)「心の問題」について真剣に考察を行っていた。

  
  前半の分析の部分は「良」で、いくつか至言もある。
  その部分はノートにまとめ(かブログにまとめ)たいと思うほど(時間が許せば行う)であった。
  が、後半の「対処法」の部分は、読んでいて首をひねるものがいくつも出てくるので評価するとしたら「可」。
  総合評価では悩んだが、費用対効果の面でやや不満である点、後半配慮に欠ける分が散見される点、そして最後の「泣ける映画紹介」が全くの無駄であることから、総合評価としては「可」とした。


  読むとしたら前半2章くらいまで。
  後半の特に4章から後ろはいらない。
  繰り返しになるが、「泣ける映画30選」は本当にいらない。

  
  ところで、本書を読んで彼に対するイメージが180度転換した。
  彼の人生が波瀾万丈であることは知っていたが、彼自身がこれほど精神的に追い詰められた経験をしていたとは全く知らなかった。
  彼の書いた(これまでの)本を読めば、その理由がわかるはずである。
  彼ほどの強靱な精神を持った者(本人は否定しているが、自力で(他人の力を意識的に借りることもある意味「自力」である)「うつ」状態から脱出するだけの力を持っている人は「強者」である)でも、精神的に追い詰められることがあるのだと思うと、不謹慎ではあるが妙に力づけられるものがあった。


  前半は読む価値があるので、読むのであれば具体的な「処方」が入る手前まで。
  もし、私のまとめを待つ気長な人がいるのであれば、それだけで十分なので、しばしお待ちあれ。