日本のITコストはなぜ高いのか?

日本のITコストはなぜ高いのか?

書名:日本のITコストはなぜ高いのか?
著者:森 和昭


久しぶりの書評だが、この間ずっと本を読んでいなかったわけではない。
単に、書評を書く時間がなかっただけだ。


で。
某有名な家電量販店のPC関連書籍売り場で偶然見かけた書だが、今自分の所属している部署が行っている仕事に対する批判の書なので、即買い。
敵を知るためにも、己を知るためにも、ね。


しかし、駄本。
日本の「保守契約」の実態について理解するために読む分には、まあ、読めなくはない書であるが、延々と同じことを繰り返しているだけなので、最後の方になってくると完全に辟易してしまう。
(事実、読みながら3度も眠ってしまった)
要は、

この国の「保守契約」なるものは、クライアントの無茶な要求から身を守るために
ベンダーが考え出したインチキなシステムで、
クライアントはこれを「保険」か何かと勘違いして、
内容を精査せず、セカンドオピニオンを求めることもなしに、
ただ「少しまけてよ」とごねることぐらいしかしていないので、
実際に提供されるサービスの内容よりも遙かに高い費用を払い続けている。
しかも、本来は障害が発生する頻度が下がる安定稼働後も、初期の障害頻度が高い水準での
「保守契約」を更新し続けるなど、とにかくベンダーの言うがままになっている。
ここにコストカットの余地がある。
システムに対するリテラシーを持つ技術者を養成して社内に抱えることで、きちんと保守の内容を精査し、
不必要なものは切り捨てることでコストダウンが図れる。

と、これだけである。
これはこれで正しい認識であると思うが、
そこから非常に有用な提案がなされるわけでもなし、
わかりやすい事例が示されるわけでもなし。
つまり、駄文が続いている、ということ。


まあ、全部読んでもたいした量ではない(大きな字で200頁程度)ので、読み通してみるのもよい。
この手の話を聞いたことがない人にとっては、教科書だと思えばこのぐらいのボリュームでちょうどよいと思われる(私はそうだったので、勉強にはなった)。
とりあえず他にこの話題について書かれた本がなかったので、一応SE必読の本としておく。
最後にとってつけたように少しだけセキュリティの話が書いてあったり、かなり控えめなので良心的ではあるが、ご自身の会社の宣伝をなされたりという点には、まあ、目をつぶって読んでみるべし。