東京レポート6-9

目の前に虻が止まった。
私は神経質なので気になって仕方ない。
蠅なら追い払えば良いが、虻だと刺される危険があるので迂闊に刺激したくない。
飛んでいってくれることを期待して店内を歩き回ってみたが、一向にその気配はない。
よほど席を移動してやろうかと思っていたら、ようやく飛び去ってくれた。
が、まだ背後の席のいすに止まっている。
私は神経質なのだ。


まずいことに見つけてしまった。
何をか?
PCが使える店を、である。
PCが使える(電源を供与している)喫茶店もしくはファーストフード店がないことだけが、この町の欠点だと思っていたが、昨日たまたまのぞき込んだファーストフード店に使用できる電源があることを発見してしまった。


虻が戻ってきた。
席を移動しようか。
たぶん窓際だから、ここに張り付いているのだろう。


と思ったら、また飛んでいった。
忙しいやつだ。
私は神経質なのである。


外でもものがきをしたい私にとってそのこと自体は歓迎すべきことなのであるが、今はあまり見つけたくはなかった。
「仕事」を始めてしまうからである。
かくして私は朝からずっとPCに向かっている。
・・・アンタ、仕事から逃げてきたんじゃなかったのかね。