本当に久しぶりに急な用事がない日だったので、行ってみた。
朝からの体調不良と倦怠感でものすごく嫌な予感がしたのだが・・・。


まさか自分が既に歌から見離されているとは思わなかった。
2曲目の途中から・・・。
声が・・・。
まったく出なくなった。
アレ、ウタエナイ・・・。


1,2曲流してみたが、まったく声が出ない。
届かないとか音があたらないといった話ではなくて、そもそも声が出ない。
回復の見込みがまったくなかったので、そのまま1時間分の料金を支払って出てきた。
このまま自己嫌悪の中で残りの時間閉じこめられているよりはよほどその方がましだ。


自分の歌が下手だと気づいたときと併せて2度目の衝撃だが、1度目の時ほど強い感情が湧き上がってこなかった。

ああ、ついにそうなったか。

予感も予兆もあった。
だが、だからといって、衝撃が和らぐということはない。


今は疲れているので、悲しむ気力すらないが、そのうちまた内蔵の不調となって現れるのだろう。
ただでさえ死にかけている胃腸にとってこれは致命傷となりうる。


服用している薬のせいなのか。
確かに、薬の1つは喉の渇きを誘発し、もう1つは興奮を静めるために私から気力を奪っている。
だが、そんなもの無くても、今の私が歌えなくなることは時間の問題だったのだ。
何か外部の要因に帰することが出来ればこれほど楽なことはないが、そんなことが出来ていれば、そもそも私がここまで絶望的な状況に追い込まれることなどない。
駄目なものはどうあがいても駄目なのだ。
認めざるをえない。
ただし、認めたからといって何の救いにもならない。


頭蓋に響く美しい音に浸ることすらもはや奪われてしまった。
歌は完全に私を見放した。
もう、終わりだな。