白いネコは何をくれた?

白いネコは何をくれた?

書名:白いネコは何をくれた?
著者:佐藤義典


予想に反して、なかなか良い書だった。
予想というのは、「まあ、所詮ただの読み物だろう。ちょっと役に立つヒントが得られればいいかな」ぐらいの気持ちで本書を開いたということで、実際には結構しっかりしたマーケティング理論のもとに、よく練られた構成になっていた。


特に最後のコンペティション(?)の場面では、相手方の反論もしっかりと筋の通ったもので、ストーリーを盛り上げると共に、展開されている論に深みを持たせるものとなっていた。
この手の「駄目な主人公が超常的な何かに導かれて力を付け、強大な敵に勝利する」というありきたりのパターンの物語では(特に本書のように、本来は別の目的(本書の場合はマーケティング理論を紹介する)で書かれていて、付加的に物語が付け加えられているような本の物語)では、強大のように思えた敵が最初の一崩しや二崩しくらいであっさりとやられてしまうものだが、本書の敵は意外にもしぶとく粘る。
それが本書の質を高め、また本書で紹介しているマーケティング理論の価値を実証している(つまりこれだけ困難で強大な敵に対しても、しっかりと理論を組み立てれば勝てる可能性があるのだということを証明している)。


読み物としてもそこそこ楽しんで読めるので、少しでもこの手の話(自分を変えたいとか、マーケティング理論をかじってみたいとか)に興味のある人は読んでみると良い。
この手の本にしては珍しく当たりであることを保証する。


ところで、私は何故この本を手に取ったかって?
いや、面白そうな物語の匂いがしたので、ね。