泣いて暮らすのも一生 笑って暮らすのも一生

泣いて暮らすのも一生 笑って暮らすのも一生

書名:泣いて暮らすのも一生 笑って暮らすのも一生
著者:照川貞喜


まあまあ。


某公共放送で紹介されていたので読んでみた。
この人は、某公共放送の権威に弱いのである。
前回は痛い目に遭ったが今回はおおはずれではなかった。


健康でしかも警察官をしていたぐらいだから、健康には自信があり、身体を動かすことも好きだっただろうに、全く動けなくなった状態でもこれだけ生きるモチベーションを保ち続けられるというのは、脱帽である。
もともと前向きな性格だったというのが幸いしたのだろうが、それでも最初は呼吸器の取り付けを拒絶して死を選択したというのだから、これぐらい前向きでタフな人でもそういう状況に追い込まれたらそういう選択をするものなのかと認識を新たにした。


しかし、どれほど強い意志の力ををしたとしても、自分の身体に言うことを聞かせることはできない。
人間の自我とはその程度の脆いものなのである。
やはり人はどのように自我を装うとも結局は動物に過ぎないということなのだろう。
「人として」生き抜くためには修練が必要なのである。
だからこそ「武士道」は美学たりうるのである。
切腹」は「人」としての勝利の証である。


話がそれたが、この本そのものは、特に感動を呼び起こすようなものではなかった。
しかし、「こういう人が一生懸命に生きている」という事実そのものが、自らの不遇を嘆くだけで努力をしようとしない自分に反省を促すきっかけとなる。


今、この人は、自らの意思表示が出来なくなった時に「尊厳死」をさせて欲しいという訴えを起こしているようだが、私はその主張を全面的に支持する。
「人として」生きる権利があるとするならば、「人として」死ぬ権利もある。
その選択は人工呼吸器を取り付けるタイミングだけではなく、いつでも行使できる権利だと私は考える。
「死ぬ自由」がなければ安心して生きることも出来ない。


自らの堕落した生活について、大いに反省させられる書。
駄目な自分に喝を入れたいときに読むと良い。