竹中先生、経済ってなんですか?

竹中先生、経済ってなんですか?

書名:竹中先生、経済ってなんですか?
著者:竹中平蔵, 藤井昌子


高校生くらいなら、まだ、解る。
だが、大学生がこれを読んで感動していたら、正直ちょっとひく。
この書の内容が解っていないということは、日々のTVニュースの(日経新聞の、ではない)意味が全く解っていないということになる。
それは・・・恐ろしい。
そういう人が自分と同じ1票を握る有権者だと考えると・・・。


ところが、私がかつて塾で教えていた生徒は、本書に書かれている内容の(少なくても)一部は全く理解していない。
彼は、今年から某大学の経済学部の学生である。
・・・・・・。
この本を読んででもよいから、頼むからこのくらいは人に説明できるようになって卒業して欲しい。


偉そうなことを述べたが、実を言うと私も、大学入学直後はこのレベルのこともしっかりとは理解していなかった。
政経は得意分野で偏差値もそこそこだったが、たぶんこのような「経済」の基礎は実際にはしっかりとは理解していなかったように思う。
要は、インフレ=好況、デフレ=不況、インフレでも不況=スタグフレーション、といった馬鹿の一つ覚えのようなことをして、マーク式であることをよいことに、点数を稼いでいただけに違いないのである。
この国の教育って・・・。


本書は、ベストセラーで有名になった、細野氏の『経済のニュースがよくわかる本』と比較しても、内容・わかりやすさ共に見劣りする。
一言で表すならば、1レベル下の本、なのだが、ところどころそれにも拘わらず細野氏の本の説明よりも解りづらい箇所が見受けられる分、内容や対象読者のレベル差を考慮しても、軍配は完全に細野氏の本に上がる。


経済に関して、「お金」って何?というレベルの説明からして欲しい、という初心者中の初心者ならば、まずは本書の内容を100%理解する、ということから初めても良いだろう。
同様の趣旨の他書に比べれば、かなり解りやすい部類に入るが、やはりここは予備校講師(全員に「解らせ}なければならない)と大学教授(解らない人がいれば、まあそれはそれでしょうがない)の差なのか、細野氏の本で、本書の内容の80%はカバーできている。
細野氏の本が読める人は、本書を敢えて読む必要はない。


中学生や高校生が、経済の最初の本として、或いは日々のニュースで述べられていることに関して理解するために、読む分には良いのだろうが、大学生以上にとっては(文系理系を問わず)このぐらいは常識として理解しておいて欲しい。
そのレベルの内容の本である。


・・・なんか、本の宣伝をしているみたいだな。
つまり、「自信がない人」は本書を読んで確かめろ、と言っているようなものだからな。
・・・まあ、(1時間くらいで読めるので)損はしないと思うけど、同じ読むなら、少々気合いを入れて(嗚呼、この国の教育の行方が心配になってきた)、細野氏の本を読むことを勧める。