書名:ブレンパワード (4)
著者:杉崎ゆきる, 富野由悠季


久しぶりに読み返した。
4度目くらいの読了。


今やっていることに関係して、ブレンのストーリーをおさらいしたくなったので読んでみることにした。
(これだけで私が何をしているのか解った人は相当なマニアだ。出来れば近づきたくない)
やはり、素晴らしい。


Vガンで完全に壊れて鬱になった富野が復活するきっかけになった佳作。
「皆殺しの富野」が誰も殺さず(厳密には1人死んでいる。いや、2人か。また、一応戦争なので、名前のないキャラクタ−はばったばったと死んでいるはず。でも、それは「皆殺しの富野」の皆殺し具合を知らない人が言う台詞)、人を「生かす」方向での問題の解決を見いだした初めての作品(cf. 伝説巨人イデオン 或いは 聖戦士ダンバイン)。
そして、理想の生き方(そして死に方)について、初めて「こういう世界なら生きていてもいい」と視る人に思わせることが出来るような世界(少なくとも私はそう思った)見せてくれた作品。
そしてそれはターンエーに結実するのである。
(あのラストシーンのロランの幸せそうなこと!)
この辺りの詳しい経緯が知りたい人は以下の書籍を読むべし。

ターンエーの癒し

ターンエーの癒し

(文庫が出ているが、絵がないのでこちらにした)


まあ、いいや。
多分この話を共に語れる人は死ぬまでに1人も現れないのだろうな。


本作を一言で表現するならば、「愛」について人々が悶え苦しみながらそれぞれの答を見つけていく、そういう作品である。
愛しているのに、求めているのはささやかな幸せなのに、仲良くしたいのに、何故いがみ合い、争い、果ては殺し合わなければならないのか、そしてそういった複雑にひねくれてしまった関係を修復し、また元のように慈しみ合い、愛し合うためにはどうすれば良いのか、そういった問いが提示されている。
玩具を売るためのCMと化し、CDを買わせるために1作品の中で不必要に主題歌の変更を繰り返し、中身は旧作のつぎはぎという、最近のひどいガンダム(勿論富野の作品ではない)を視るくらいなら、こちらを視るべきだ。


ただ、私は1度アニメーションを通して視たから話の流れや設定はだいたい頭に入っているのだが、初めての人が漫画だけ読んでもよく意味が解らないと思う。
ストーリーが大分端折られているからだ(私も読み返しながら、あれ?ジョナサンっていつの間に飛ばされていたの?と思った)。
また、設定も少々高度で解りづらい。
最初に読んだときは確か高校生くらいだったが、正直ちんぷんかんぷんだった。
(アニメーションを視て少しは解るようになった)


ちなみにこの作品、音楽:菅野よう子、キャラクターデザイン:いのまたむつみというこの業界を代表するそうそうたるメンバーのコラボレーションによって成り立っている。
特に音楽の菅野よう子(と声優人)は、素晴らしく、富野の感性とも合致したようで、次の作品ターンエーの音楽も彼女が手がけている。
そして、比瑪はソシエになった。
どうでも良いが、漫画を読んでアニメーションを視た人のほとんど全ての人が、比瑪のイメージと声が違う(低くて太い、特徴的な声をしている)と感じるだろう。
私も少なからず驚いた。
が、個人的には嫌いではない。
(ただし、どうしても比瑪よりもソシエをイメージしてしまう。そして、可哀想なソシエ)


ああ、そうだ、忘れていた。
この作品はエンディングテーマをkokiaが歌っているのだった。
この作品はKOKIAを知ることになったという意味でも私にとって大切な作品である。
菅野よう子×坂本真綾は最強のコンビだが、菅野よう子×井荻 麟(富野!!)×KOKIAも絶妙なコンビだと思う。
また、この組み合わせで作られた歌が出来たらなぁ・・・。


・・・・・・。
思わずディープな話になってしまった。
(もう誰もついてきていないだろう。いいや)