災難はたたみかけてくるものだ。
身体の調子が悪くて、気分もふさぎ込んでいるときに限って現実が追い打ちをかけてくる。
いや、単に抵抗力が落ちているだけだということは解っている。
解っちゃいるが、ね。


あ、そうだ。
書き忘れていた。
結果を見たのは先週金曜だが、まあ、どこに書いても同じだろう。


先月死にそうな目にあった例の資格試験はやはりだめだった。
予想以上に良い点だったが、前回のあと2点から10点近く後退していた。
ただ、得点の構成は以前と変わらず。
読解はなんだかんだ言っても8割はあった。
語彙がやや前回より落としていて、英作は前回よりややましになっていた。
で、問題のリスニングはやはりぼろぼろだった。
だって、頭真っ白で聞いていないもんね。


ていうか、リスニングだけ平均ぐらいとれれば、それだけで合格する。
ま、問題は明らかなのだから、後はこの結果をモチベーションに努力せい。


で、本題。
本日の災難。


朝、バスに乗っていた人は、もしかすると疑問に思ったかも知れない。
「あれ?何か颯爽と脇を抜けて出て行った割には、以外と到着するのが遅いな」
それもそのはず、我が愛車は自宅から会社まで半分もいかないところでパンクしてしまっていたのである。


何か妙にがたがたするなぁ、これってまさか・・・。
前にも経験していたが、やはりそうだった。
この地に来て2度目のパンク。
しかも昨年タイヤを替えたはずの後輪。
しばらく漕いでみたが、勿論ダメ。
諦めて、近くのパチンコ屋に愛車を放置して、そこからは歩いた。
本を読みながら、というのは言うまでもない。


・・・そんなことはどうでもいい。
唯一の足を失った状態では不都合極まりない。
朝の勉強会には間に合わないし(下手すると朝会にも間に合わない)、買い出しには行けないし、病院にも行けない。
土曜の午前に直し損ねるとバドミントンにも行けなくなる。
大いに参った。


自宅近くに自転車屋があるのは知っていたが、朝何時から営業しているのか、土曜の朝はやっているのか、さっぱり情報がない。
ここは、リスクをとってでも、もう1つの場所、土曜バドの会場の小学校の向かい側にある、不気味な自転車屋(店の前には壊れた自転車が30台くらい放置されていて、店が開いてるのを1度も見たことがない)に行ってみるしかない。


善は急げ(ていうかもう悠長に構えられる状況ではなかった)、で、早速この日17:00に会社を抜け出して(一応フレックスのコアタイムは過ぎているから違反ではない)、炎天下をまず自転車を置いてきたパチンコ屋まで早足で歩き(勿論本は読みながら)、愛車を回収(ていうか、「愛車」を放置するな!)、10分少々かけて自転車屋まで押していった。


汗だらだらで到着。
会社から30分かかった。
外出予定は17:00〜18:00。
間に合うか微妙な時間だった。


店は開いているようだった。
「助かった」と思った。
閉まっていたとしたらまたどこかに自転車を放置して歩いて会社に戻らなければならなかったからだ。
しかもその場合、平日中に直す見込みはなくなる(まさか有給は使えまい)。


確かに店は開いていた。
が・・・。
誰もいない。
電気もついていない。
店の前で突っ立ってるとおばあさんが現れた。
「パンクです」と伝えると、「ちょっと待って」と奥に入っていった。


・・・まさか。
まさか、と思っていたら、本当に、80歳くらい(年齢は後で教えてもらった)のおじいさまがやってきた。
杖をついているが、足下がおぼつかない。
か、介助したほうがいいのだろうか・・・。


歩くのも難儀そうなおじいさん(しかも発言の3/4はよく聞き取れない)に見てもらうと、やはり後輪のパンクらしい。
タイヤは昨年の8月に替えたばかりだってのに・・・。
どうやらタイヤは替えたが中のチューブがそのままだったらしい。
で、チューブに穴が開いていた。


でも結局タイヤもボロボロになっていて(そりゃチューブに穴が開くくらいだから)、両方替えてもらうことになった。
「チューブだけだと3800円。タイヤも一緒だと勉強させてもらって6500円」
おお。
初めて聞いた「勉強させて」という言葉の響きに感動して、値段を吟味するのを忘れて二つ返事でお願いしてしまった。
まあ、もう少し高くてもお願いしていただろうけど。
何せ今、ここで直してもらえることに非常に大きな価値があるのと、しゃがむのも困難なおじいさんがわざわざ交換してくれるというのだからお断りするのはあまりにも申し訳ない。


で、一緒にタイヤ交換をした。
そりゃ、そうだ。
大変難儀そうなのを傍観していられるほど神経は太くない。
さすがにタイヤを組み立てるのは私には解らないのでお任せしたが、自転車を持ち上げたり、指示通り留め金を回したりと出来るだけ手伝った。
汗だらだらで手も汚れたが、なんか、楽しかった


で、やっぱりそれだけでは終わらなかった。
このおじいさんも例に漏れず話し好きで、色々と世間話や自慢話を始められた。
何でももう64年もこういったこと(自転車稼業)をされているらしい。
64年前は小学生だったらしい(で、だいたい年齢が判明した)。
何でも真珠湾攻撃が始まった年(「太平洋戦争」とはおっしゃらなかった。確か「東亜戦争」とおっしゃっていたような・・・)の頃の話らしい。
で、「当時のパンク修理代はいくらだったと思う?これくいず」と突然クイズを出された。
さっぱり解らなかったので「うーん500円くらいかな」<アホだな〜。きちんと日本史勉強したのか?あれ?日本史は得意じゃなかったのか?>とつぶやいたら、こちらの回答は無視して

ごせん

とお答えになった。
え?五千円?
いやいや、

五銭

とのこと。
どっひゃ〜。


今は新品の自転車が(安物なら)1万くらいで、パンクしてチューブ・タイヤ交換すると6500円(と考えると高かったなぁ。ま、いいか)。
勿論私の愛車はそんな安物ではないのだが(だけど見た目の派手さに反して実は中途半端な値段。機能は値段相応)、修理するよりも新品を買うことの方が特という今の「使い捨て」文化がいかに特殊であるかということを思い知らされた。
あ、書き忘れたけど当時の自転車は新品で15円くらいだったらしい。
15円:5銭と1万円:5千円では、比率が2桁は違う。
やはり、「直すよりも新しいものを買う方が特」という今の経済システムはどこかおかしいのだ。


で、そういう収穫はあったものの、せっかくの貴重なお話も3/4は上手く聞き取れない。
まあ、適当に相づち打っていたけど。
当初計画では18:00に会社に戻る予定だったが、自転車屋到達が17:30、無事にチューブとタイヤが交換できたのが18:30、あとはお話が30分くらいで、会社に戻れたのは19:00過ぎだった。


勿論、予定より遅れている今の状態でそそくさと帰れるはずもなく、またまた数字にならないお仕事をこっそりとすることになったのである。


が、微塵ほどの怒りも感じない。
自転車は無事に直ったし、おじいさんとのお話しは楽しかった。
お人好し?
いや、自分のことなんてどうでもいいと思っているだけでしょ。


しかし、この愛車ももう限界かな。
前輪はまだ切れてはいないものの、いたく傷ついていて、もう時間の問題。
チェーンもよく外れるようになった(先週(時間の都合上このことはブログには書かないことにした:08/09/01)はおかげで油まみれになったけどね)。
乗るとがたがたいうし、スピードも出ない。
そろそろ、次を考えなければならないが・・・。
予算が・・・。