傷つきやすくなった世界で 日経プレミアシリーズ

傷つきやすくなった世界で 日経プレミアシリーズ

書名:傷つきやすくなった世界で (日経プレミアシリーズ 2)
著者:石田衣良


まあまあ。
前作ほどの勢いはないが、それなりに読めるエッセイ集。


こうして2年分をまとめて読んでみると、その時々で言っていることが一貫しておらず、時に180度反対のことを主張している場合も散見される。
だが、これはエッセイであり、彼は学者や政治家ではないので、その主張の一貫性を深く追求する必要はない。
むしろこの「ぶれ」は、彼の良識からくるものであろう。
価値が散逸し、混迷さを深める世界の中で、彼は数少ない良識の持ち主であり、社会にコミットし続ける「頑固親父」(ちょっとイメージと違うか。でも代わりになんて表現したらいいかわからない)である。


「頑固親父」・・・では少々かっこわるいイメージになってしまうが(そもそも「頑固親父」が恋愛のすすめなんて書かないよな)、彼の書くエッセイは軽やかでおしゃれである。
そして、言うべきことはきちんと言う。


R25で初めて彼を知ったときには、彼のことが作家だとは解らなかった。
エッセイストか評論家だと思った。
そのぐらい彼のエッセイは洗練されていた。
興味をひかれて小説を読んでみたら面白かった(最近のはダメダメ、であるが)。


首都圏を離れて、R25を読めなくなったが、前回上京のおりにR25がウェブ上で読めることを知り、再び読み始めるようになった。
彼のエッセイは勿論、最優先に読む記事である。


・・・話が書から反れた。
(お、久しぶり)
R25で既に読んでいた記事がほとんどであったが、読み返してみてもすんなりと読めて、ところどころ良いことを言っている(当たり前のことだが、その全部に納得することははできない)。
特に、「残業禁止令」は是非実現して欲しい(夜の街に遊びに行きたいとは思わないが)。
まあ読んでみなよ、結構いいこと言っているから、という感じ。
寝る前や朝起きた後の読書に最適。