翳りゆく時間(とき) (新潮文庫)

翳りゆく時間(とき) (新潮文庫)

書名:翳りゆく時間(とき)
著者:浅田次郎, 日本ペンクラブ


可もなく不可もなく。
大きな感動や発見はないが、読後感は悪くない。
よく眠れた日の朝のような感じ(最近滅多になくなったけど)。


浅田次郎の書いた短編はさすが、といったところ。
やはりこの人には人情ものが似合う。


三島の短編はやや期待はずれ。
その筆致はさすがに秀逸だが、物語としての面白みはない。
江國香織の感性と文体はかなり好きである。
『号泣する〜』もそうだったが、あっさりした肩に力の入っていない雰囲気の中に人の純な感情が表現されていて、読みやすく、共感しやすい。
そして美しい。


他には山田詠美北方謙三の作品を始めて読み、両者に興味を抱いた。特に山田詠美の本は読んでみようかと思った。
短編集の楽しみはこのようなちょっとした発見にある。


まあ、暇つぶしにはちょうどいい長さと面白さ。
あまり大きな期待をしなければ十分読んで楽しめる。
寝る前の読書にでも。