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現在の私の性格を形成したのは紛れもなくGWである。
しかし、それより更に前、幼少の頃のセンスオブワンダーを形成しているのは、これである。
現在の私の過剰な感受性はその賜だろう。
技術に疎い家庭だったため、テレビの音を直接アナログでカセットテープに録音したりしていた。
それでも、飽きずにいつも聞いていた。
私にとって歌は全てだったが、私にとっての歌は武田鉄矢のかいた詩のことだった。
その歌は美しく、希望に満ちていたが、どこか悲しげでもあった。
曲調もそうだったが、やはり歌詞だろう。
幼いなりに人生の悲しさを感じていたのかも知れない。
大長編(映画とは言わない、大長編と言う)そのものも好きだった。
特に大長編のジャイアンが好きだった。
大長編でも相変わらず下手な歌。
こころ。
歌とこころと小さな勇気と悲壮感と別れと海援隊と姿を見たことのない武田鉄矢と。
私のセンスオブワンダーは地上から少し浮いた感じの「少し不思議な世界」の中にあった。
ばらばらに散った感覚の断片を結び合わせていたのは歌だった。
藤本弘が世を去り、武田鉄矢が詩を提供しなくなってから、大長編もみることがなくなった。
私の「少し不思議な世界」もその時、終わった。
